文献情報
文献番号
200500836A
報告書区分
総括
研究課題名
特定疾患の微生物学的原因究明に関する研究
課題番号
H17-難治-036
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐多 徹太郎(国立感染症研究所 感染病理部)
研究分担者(所属機関)
- 生田 和良(大阪大学微生物病研究所)
- 近藤 一博(東京慈恵会医科大学医学部)
- 山谷 睦雄(東北大学医学部附属病院)
- 中島 淳(横浜市立大学医学部)
- 荒川 宜親(国立感染症研究所細菌第二部)
- 結城 伸泰(独協医科大学)
- 渡邊 浩(長崎大学附属病院)
- 川端 寛樹(国立感染症研究所細菌第一部)
- 鈴木 和男(国立感染症研究所生物活性部)
- 渋谷 和俊(東邦大学医学部)
- 岸本 壽男(国立感染症研究所ウイルス第一部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
特定疾患を引き起こす病原体および発症機序を明らかにすることにより発症の予防あるいは効果的な治療法の開発に結び付ける。
研究方法
分担研究者の詳細な研究方法は分担研究者の報告書に譲る。
結果と考察
特定疾患とウイルス感染の関与を明らかにするため多種類のウイルスを比較的短時間で同時に定量できるTaqman PCR法を開発した(佐多)。ボルナ病ウイルスP-Tg脳内では神経伝達物質であるグルタミン酸の濃度制御に働いているグリア型グルタミン酸トランスポーターの発現が顕著に低下していること、およびD型アミノ酸酸化酵素の発現にも異常が示された(生田)。クローン病の腸管病変部でHHV-6の潜伏感染時に発現する蛋白が検出されることを見出し、クローン病の発症・増悪とHHV-6の潜伏感染との関連が示唆された(近藤)。培養ヒト気管上皮細胞系で塩酸プロカテロールは培養液ライノウイルス量を、RhoA活性化抑制薬N-acetyl-S-geranylgeranyl-L-cysteine、バフィロマイシン、エリスロマイシン、およびクラリスロマイシンはRSウイルス量を減少させた(山谷)。自己免疫性肝炎患者肝組織からプロファイリング解析を行い、HTLV-1、HBV(X)、HPV E6、Moloney leukemia virus、MMTV、Myeloblastosis virusなどを検出した(中島)。慢性呼吸器疾患をもつ先天性免疫不全患者5名では1名に肺炎マイコプラズマの遺伝子が検出された(荒川)。ギラン・バレー症候群の発症に関わるカンビロバクター遺伝子の関連を明らかにした(結城)。バイオフィルム産生に関する比較研究で多くのHibはNTHiに比べバイオフィルム形成能は乏しいと考えられた(渡邊)。MS症例を含む原因不明神経疾患12症例のうち5症例でライム病抗体陽性と判定された(川端)。C. albicans由来分子CAWSが血管炎を誘発し、炎症誘導機構に初期好中球機能および炎症性サイトカインの上昇が引きがねになっていることと示した(鈴木)。Stachybotrys chartarumを経気管的に反復投与したマウスの一部の個体で肺動脈壁の肥厚がびまん性に認められることを明らかにした(渋谷)。orbital MALTリンパ腫症例17例ではオウム病クラミジアの遺伝子は検出されず、Q熱コクシエラと慢性疲労症候群様疾患との関連を示唆する所見は得られなかった(岸本)。
結論
特定疾患との関連性あるいは非関連性について明らかにされ、さらに一部では治療に係わる知見が明らかにされた。
公開日・更新日
公開日
2006-06-12
更新日
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