ウイリス動脈輪閉塞症における病態・治療に関する研究

文献情報

文献番号
200500834A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイリス動脈輪閉塞症における病態・治療に関する研究
課題番号
H17-難治-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(京都大学大学院医学研究科脳統御医科学系専攻脳病態生理学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 宝金清博(札幌医科大学院医学研究科神経病態学講座脳神経外科)
  • 冨永悌二(東北大学大学院医学系研究科神経外科学神経科学)
  • 宮本享(国立循環器病センター脳神経外科)
  • 永田泉(長崎大学医歯薬学総合研究科病態解析制御学)
  • 鈴木則宏(慶応義塾大学医学部神経内科学)
  • 北川一夫(大阪大学大学院循環器内科学医学系研究科)
  • 野川茂(東京歯科大学市川総合病院内科学)
  • 小泉昭夫(京都大学医学研究科社会医学専攻系環境衛生学分野)
  • 黒田敏(北海道大学大学院医学研究科神経病態学講座脳神経外科学)
  • 菊田健一郎(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座脳神経外科学)
  • 中川原 譲二(中村記念病院脳神経外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2005年度より新たに構成された研究班ではテーマとして [1]診断基準の見直しと疫学調査、[2]病態整理と診断治療指針の確立および[3]出血発症機序の解明および治療指針の確立の三つの柱を立てた。これらの研究を通じて得られた知見を元に、もやもや病診断・治療指針を作成することを目標とした。
研究方法
すなわち[1]MRIやSPECTによる低侵襲の新しい診断基準を適応し、疫学データベースを作成する。家族性もやもや病を中心に遺伝子解析や分子生物学的検討も行い病因追求も行う。[2]疫学データベース作成により各施設の疾患を持ち寄り、無症候性もやもや病、もやもや病類縁疾患である類もやもや病、片側もやもや病についての病態特徴解析を行う。MRI技術を用いて可能な限り多数例の画像データベースも作成し、従来の疫学研究のみではなし得なかった病態解明における新知見の集積を行う。[3]出血発症について、吉本班より継続されているJAM trialを継続し、またMRIによる微小出血巣研究により症候性出血発症機序を解明し明確な指針を得る。
結果と考察
宝金らは核磁気共鳴血管撮影法(MRA)により病期分類を作成した。中川原らはIMZ-SPECTによる皮質神経細胞の脱落に関する判定方法を確立した。MRIデータベース作成が計画され菊田・黒田らは現在165症例を登録している。小泉らは家族性もやもや病の遺伝形式が浸透率の低い常染色体優性遺伝形あることを示した。鈴木、野川らは虚血発症型モヤモヤ病に対する内服治療において抗血小板剤の投与法に検討の余地があることを示唆した。野川らはもやもや病の頭痛がTIA頻発型で多いこと、女性に多いことを指摘した。北川は基底核部にもやもや血管の発達が脳循環代謝障害と相関するのことを報告した。北川・永田らは来年度から類もやもや病、片側もやもや病の全国調査を計画している。黒田らは無症候性もやもや病を多数例追跡している。富永らは現在まで報告された主要221論文の分析を行った。宮本らはJAM trialを継続している。菊田らは超高磁場MRI(3テスラMRI)を用いもやもや病患者においては極めて高頻度で微小出血が潜在することを示した。
結論
もやもや病研究は本年度計画通り進行しつつある。

公開日・更新日

公開日
2006-07-06
更新日
-