原発性高脂血症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500831A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性高脂血症に関する調査研究
課題番号
H17-難治-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山田 信博(筑波大学・大学院人間総合科学研究科 内分泌代謝・糖尿病内科)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 康(千葉大学大学院医学研究院)
  • 及川 眞一(日本医科大学第三内科)
  • 島本 和明(札幌医科大学医学部第2内科)
  • 上島 弘嗣(滋賀医科大学社会医学講座福祉保健医学部門)
  • 白井 厚治(東邦大学医学部附属佐倉病院内科学講座)
  • 石橋 俊(自治医科大学内科学講座内分泌代謝学部門)
  • 太田 孝男(琉球大学医学部病態解析医科学講座育成医学分野)
  • 武城 英明(千葉大学大学院医学研究院臨床遺伝子応用医学)
  • 山下 静也(大阪大学大学院医学系研究科B5循環器内科)
  • 島野 仁(筑波大学大学院人間総合科学研究科内分泌代謝・糖尿病内科)
  • 後藤田 貴也(東京大学大学院医学系研究科)
  • 清原 裕(九州大学大学院医学研究院病態機能内科学久山町研究室)
  • 林 登志雄(名古屋大学医学部附属病院老年科)
  • 荒井 秀典(京都大学大学院医学研究科老年内科)
  • 小林 淳二(金沢大学大学院医学系研究科生活習慣病講座)
  • 斯波 真理子(国立循環器センター研究所バイオサイエンス部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、前班が展開してきた原発性高脂血症研究の中でも、特にハイリスク高脂血症に焦点を絞り 従来の高脂血症診療指針の発展型として効率的な動脈硬化予防を目的としたガイドラインの作成をこの3年計画の目標としている。 日本でも診断基準が設定されたメタボリックシンドロームは、動脈硬化症の重要なハイリスク群であり、原発性高脂血症患者においても 動脈硬化の発症予防、進展抑制にむけたリスク管理の上で極めて重要な位置づけにある. また高トリグリセリド血症がその診断基準項目に含まれ、動脈硬化進展病態に深く関与するため、日本におけるメタボリックシンドロームの実態を把握することが 重要である。 そこで本年度は、特にメタボリックシンドロームの解析を中心に展開した。
研究方法
各班員のコーホートスタディや研究対象集団について、メタボリックシンドロームの頻度や、必須診断項目である腹部肥満(臍部ウエスト周囲径)、その他の動脈硬化リスク(他の診断項目)との関連、動脈硬化予知マーカーとしての有用性などを検討した。 それぞれのデータを総括する事により、メタボリックシンドロームの国内における実数と現診断基準の問題点の把握を試みた。
結果と考察
1 全国的にみてメタボリックシンドロームの頻度は、男性17-29%程度、女性は1-10%であった
2 海外の報告に比べ、女性の頻度が圧倒的に低くまた分担報告間でばらつきが大きかった。
3 BMIは臍部ウエスト周囲径と男女とも極めて高い相関を示した.
4 腹部肥満(臍部ウエスト周囲径)は、リスクの重積と連続的な相関を示した. 
5.メタボリックシンドロームの診断は、非診断例に比べ、心血管イベントのリスクは、ハザートとして2倍弱程度に増加傾向を認めたが、統計的には有意ではなかった.
現在の日本のメタボリックシンドローム診断基準では、男性の頻度は国際基準と同等であるが、女性の該当者が極めて少なく、腹部肥満の設定に関しては再考の必要がある. BMIは、ウエスト周囲径の代替として使用に問題はない. 心血管系疾患の予知マーカーとしての本症候群の診断の有用性には疑問が残る。
結論
本研究の結果をふまえる限りでは、メタボリックシンドロームの診断基準を満たすか満たさないかよりも、個別の診断基準項目やその重積を動脈硬化リスクの指標として高脂血症の診療に取り入れていくべきであると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-05-26
更新日
-