特発性造血障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500828A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性造血障害に関する調査研究
課題番号
H17-難治-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 敬也(自治医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 内山 卓(京都大学大学院)
  • 岡本 真一郎(慶応義塾大学医学部)
  • 金倉 譲(大阪大学大学院)
  • 澤田 賢一(秋田大学医学部)
  • 朝長 万左男(長崎大学原爆後遺障害研究施設)
  • 中尾 眞二(金沢大学大学院)
  • 中畑 龍俊(京都大学大学院)
  • 原田 実根(九州大学大学院)
  • 村手 隆(名古屋大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再生不良性貧血、溶血性貧血、不応性貧血、骨髄線維症を対象疾患とした全国規模の調査研究を、疫学・病因・病態・診断・予後などの幅広い領域にわたって実施した。
研究方法
主任研究者1名、分担研究者9名、研究協力者20名、横断的基盤研究班(微生物班及び疫学班)2名の計32名より構成され、それぞれの疾患領域で研究を立案実施した。
結果と考察
1.再生不良性貧血:(1)前方視的疾患登録、およびセントラルレビュー開始の準備をした。(2)PNH型血球増加が、再生不良性貧血の免疫抑制療法に対する反応性や予後に重要であることを示した。(3)慢性赤芽球癆の標準的治療法の確立を目的とした調査を実施し、61施設から回答があり147例の新規症例が登録された。
2.溶血性貧血:自己免疫性溶血性貧血の全国調査で、Coombs陰性溶血性貧血の3割がCoombs陰性自己免疫性溶血性貧血であることがわかった。発作性夜間ヘモグロビン尿症については、日米共同研究を推進し、新規治療薬の国際臨床治験の準備を進めた。
3.不応性貧血: (1)新規に診断された不応性貧血(骨髄異形成症候群)の患者を前方視的に症例登録し、追跡調査するとともに、セントラルレビューを計画し、平成18年度中に症例登録開始予定である。(2)小児例は、1999年から前方視的登録・中央診断を行っており、2005年11月までに388例が登録された。(3) 再生不良性貧血と骨髄異形成症候群各病型でのWT1アイソフォームの発現を解析し、両群間で有意な発現の違いはみられなかった。(4)低リスク骨髄異形成症候群に対するCyA療法の追跡調査によると、CyAによる血球回復効果は薬剤依存性で、継続投与例では血球減少の改善傾向が持続した。(5)同種造血幹細胞移植776例の後方視的解析で、移植例数と移植による根治症例の絶対数の増加を確認した。また、予後因子解析で急性GVHDの制御、慢性GVHDに伴う抗MDS効果が、移植成績向上に重要であることを確認した。
4.骨髄線維症:1999年から2005年の6年間に、285例の新規患者登録を得た。蛋白同化ホルモンが投与された例の34%で、貧血の改善が確認された。今後、前方視的治療研究を行う予定である。
5.その他:輸血後鉄過剰症の全国実態調査を実施し、第一次調査では72施設から716例の報告を受けた。現在、二次調査を行い290例のデータを回収し、解析・データベース作成を行っているところである。
結論
特発性造血障害に関する調査研究が、広範囲に計画、実施され、着実に成果が出てきている。

公開日・更新日

公開日
2006-05-11
更新日
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