日中の過眠の実態とその対策に関する研究

文献情報

文献番号
200500804A
報告書区分
総括
研究課題名
日中の過眠の実態とその対策に関する研究
課題番号
H16-こころ-016
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大川 匡子(滋賀医科大学 精神医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 大井田 隆(日本大学医学部 公衆衛生学)
  • 内村 直尚(久留米大学医学部 精神神経医学講座)
  • 井上 雄一(代々木睡眠クリニック)
  • 三島 和夫(秋田大学 精神医学講座)
  • 宮崎 総一郎(滋賀医科大学 睡眠学講座)
  • 本橋 豊(秋田大学 公衆衛生学教室)
  • 内山 真(国立精神・神経センタ-)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、日中の過度の眠気が作業・学習能率を低下させたり、うつ病など心の健康問題と関連していることから、社会的損失として注目されている。
本研究の目的は、1) 日中の過眠・眠気について生物学的背景を明らかにする。 
2) 過眠を正確、且つ簡便に評価する方法を確立する。
3) さまざまな集団における過眠症状と心の健康との関連性についての調査を行うことである。
 この研究成果をもとに学校、職場の環境・衛生の改善のために介入法を検討する。
研究方法
1)眠気の評価について日中にベンゾジアゼピン系睡眠薬を若年群と高齢群に服用させ継時的に自覚 的眠気と精神運動機能を測定した。
2)企業検診時、男性労働者3,109名についてアンケ-ト調査により睡眠時無呼吸、自覚的眠気評価尺度(エプワ-ス)、高血圧、肥満度を調査し、さらに第2次スクリ-ニングとして各種機器を用いて眠気と夜間の呼吸動態を調査し、その関連性を検討した。
3)一般住民についての疫学的調査から寝酒、睡眠薬と睡眠、日中の眠気、うつ状態についての関連性を検討した。
4)高校生集団についてピッツバ-グ睡眠質問表、一般健康調査表、日常生活調査と午睡導入による介入研究。
5)看護師集団についての眠気、睡眠健康調査と事故調査。

結果と考察
眠気の評価について高齢者では客観的な精神運動機能の低下と主観的な眠気評価との間に乖離が生じやすく、このことが睡眠薬服用後日常生活上エラ-の危険性を高める一団となっている可能性もある。
企業検診調査から過眠症状は自己評価の際に過小評価する傾向があり、睡眠時無呼吸症では自己評価(エプワ-ス)のみに依存することは危険であり多項目を評価する必要があることがわかった。
一般住民調査では寝酒と夜間覚醒、睡眠薬と抑うつ状態などが関連していた。
高校生集団では平日の睡眠時間が短く、慢性的な睡眠不足状態にあり日中の過剰な眠気を引き起こしていた。午睡を適当にとり入れることにより睡眠・生活習慣の改善と学習効率の向上がみられた。
看護師集団では睡眠・健康度が低く、日中の過眠や交代勤務が事故発生に関連する要因としてあげられた。
結論
学校、企業、医療職場において日中の眠気、過眠症状が心身の健康度と関連し、作業成績を低下させ、事故をひき起こす可能性が強いことが示唆された。
さらに適切な評価法を確立することにより実用化することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-05-17
更新日
-