心神喪失者等医療観察法制度における専門的医療の向上のためのモニタリングに関する研究

文献情報

文献番号
200500799A
報告書区分
総括
研究課題名
心神喪失者等医療観察法制度における専門的医療の向上のためのモニタリングに関する研究
課題番号
H17-こころ-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 和男(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 上田 茂(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 岡田幸之(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部 )
  • 松本俊彦(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部 )
  • 菊池安希子(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部 )
  • 樋口輝彦(国立精神・神経センター武蔵病院)
  • 松原三郎(松原病院)
  • 山上 皓(東京医科歯科大学)
  • 町野 朔(上智大学法学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、精神保健研究所司法精神医学研究部を中心に、医療観察制度に関わる種々の機関からの情報を統合的に収集管理し、専門的な見地からの評価と分析を加え、その結果を関係機関に定期的にフィードバックすることによって、専門的医療の向上を図ると同時に、5年後の制度改正の必要性を根拠づけるための客観的なデータを集積、提供することを目的とするものである。
研究方法
データは毎月診療報酬明細書にその写しが添付されることになる、各種シートのうち氏名等の個人が特定されるものを除いた情報について、開発したデータベース・システムを用いて収集した。これらのデータは司法精神医学研究部で分析され、精神医学、法学等の専門家よって構成される外部評価班での評価を経た上で、制度上の問題点や具体的な改善計画が示され、関係機関や関係省庁に定期的に報告されることになる。
結果と考察
関係機関がデータベース・システムのソフトウェアを利用してデータ収集に協力するためのネットワークを構築した。社会復帰要因を検証するためのツールの開発に努め、この評価方法を普及させるためのマニュアルを作成すると同時に、このツールをデータベース・システム上で運用可能とした。各種シートのデータベース・システムが臨床実務家の使用に耐えうるかどうかを検証するために、架空の事例を用いてシミュレーションを施し、実行可能性を検証した。医療観察法制度の関係機関からの個人情報を取り扱う際の注意点につき、個人情報保護法、疫学研究の倫理指針、臨床研究の倫理指針を参考に検討し、問題点を整理した。武蔵病院の医療観察法病棟に開発したデータベース・システムを導入し、診療支援システムから、個人情報保護法に配慮した上で、平成18年3月31日までの対象患者に関するデータを抽出し、物理的管理措置を講じた資料室内でデータの解析を行った。
結論
次年度以降、データの蓄積によって、指定医療機関の整備状況、対象者の基礎情報、指定入院医療機関における入院期間や治療内容、各種権利擁護の実態、退院に際しての住居の確保の状況、社会復帰における連携状況、同様の行為の再発等の情報が具体的に数値で示されることになる。このような成果は、対象者の個人情報保護の問題に十分配慮した上で、関係機関や関係省庁に報告され、各地の指定医療機関の医療内容が比較検討、公開されることにより、専門的医療の水準の維持と向上に大きな貢献をもたらすことが期待される。また、5年後には、これらの成果が国会へ報告されるなどして、制度自体の見直しが行われる際の重要な基礎資料となる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-