デュシェンヌ型筋ジストロフィーのアンチセンス治療法の開発

文献情報

文献番号
200500791A
報告書区分
総括
研究課題名
デュシェンヌ型筋ジストロフィーのアンチセンス治療法の開発
課題番号
H16-こころ-023
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
松尾 雅文(神戸大学大学院医学系研究科成育医学講座小児科学)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島 泰弘(神戸大学大学院医学系研究科成育医学講座小児科学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者が有する遺伝子欠失に対応したエクソンのスキッピングを誘導するのに最適なRNA/ENAキメラの探索を培養筋細胞を用いた系を用いてまず行う。ついで、RNA/ENAキメラを患者筋細胞に導入しジストロフィンmRNAが修正され、ジストロフィンが発現されることを検証する。
 また、ジストロフィン異常症患者の分子病理を解明することにより、RNA/ENAキメラの探索の効率化をはかる。
研究方法
1)培養筋細胞を用いた最適なRNA/ENAキメラの探索
合成したRNA/ENAキメラを培養筋細胞に導入し、ジストロフィンmRNAを解析し、エクソンのスキッピングの誘導能を解析する
2)患者由来培養筋細胞でのジストロフィン発現
先に明らかにした最適のRNA/ENAキメラを、患者培養筋細胞に導入する。導入した筋細胞でジストロフィンの発現を確認する。
3)DMD患者でのエクソンスキッピングの解析
ジストロフィン遺伝子のスプライシング制御機序の破綻はDMD/BMD患者で発見され、その破綻機序の解析は本研究のRNA/ENAキメラの決定に重要な情報をもたらす。そのため、本研究ではDMD/BMD患者の分子病理の解析を進める。
結果と考察
患者由来培養筋細胞でジストロフィンmRNAからエクソン51のスキッピングを誘導することに成功した。そこで、培養筋細胞のジストロフィン染色を行うとジストロフィン陽性細胞の検出が出来た。このことは、本RNA/ENAが患者の治療に応用し得ることを示した。
 また、エクソン42に2塩基の欠失を有するDMDでジストロフィンmRNAの解析を行ったところ、エクソン42のスキッピングがあることを明らかにした。さらに、in vitroのスプライシング反応系でこの欠失した領域がスプライシングの制御に極めて重要な位置を占めていることを明らかにした。これはRNA/ENAキメラのデザインにおいて本領域を標的とすることの科学的証明となった。
結論
DMD患者由来筋細胞でのジストロフィンの発現を誘導することに成功した。さらに、他のエクソンでもスプライシング促進配列を明らかにした。このように、本研究は順調に成果を挙げてきており今後継続して実施することにより、より一層大きな成果が挙げられるものと強く期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-04-11
更新日
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