HTLV-Iプロテアーゼ阻害剤によるHAM治療法の開発ならびにHAM発症予防に関する研究

文献情報

文献番号
200500790A
報告書区分
総括
研究課題名
HTLV-Iプロテアーゼ阻害剤によるHAM治療法の開発ならびにHAM発症予防に関する研究
課題番号
H16-こころ-022
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
納 光弘(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 木曽 良明(京都薬科大学薬品化学教室)
  • 足立 昭夫(徳島大学大学院医学研究科)
  • 外丸 詩野(北海道大学大学院医学研究科)
  • 中村 龍文(長崎大学大学院医学研究科)
  • 久保田龍二(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 宇宿功市郎(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-I)関連脊髄症(HAM)はHTLV-Iウイルス量増加が発症の最大のリスクであるが、ウイルスを特異的に減少させる根治療法は確立されていない。本研究ではこれを可能にするHTLV-Iウイルス特異的プロテアーゼ阻害剤の開発を目指す。また、HTLV-I感染者からのHAM発症を予防するための、HAMの病態解明と発症予測に関する研究も行う。
研究方法
薬剤開発のために、(1)新規HTLV-I特異的プロテアーゼ阻害剤の開発、(2)HTLV-Iウイルス感染価定量法の開発、(3)HAM疾患モデルの開発を行う。またHAM発症予防のために、(1)HAM病態の解明、治療法の開発、(2)HAM発症関連宿主遺伝子の同定並びに発症予測システムの開発を行う。
結果と考察
納は、HAMの発症促進HLAに拘束されたHTLV-I env特異的CD4陽性T細胞が、キャリアと比べ高頻度であることより、発症促進因子に関連した免疫反応が発症に関与していることを示した。木曽は、現在までに得られたHTLV-Iプロテアーゼ阻害剤の非ペプチド化、膜透過性向上を目指し、合成が容易で膜透過性の高い化合物KNI-10496、KNI-10516を得た。足立は、ウイルス感染価定量法を確立し、現在までに合成したHTLV-Iプロテアーゼ阻害剤の活性測定を行い、有効に測定できることを示した。外丸は、HAM発症ラットと発症抵抗性ラットとを比較し、発症に関与する宿主遺伝子の発現を明らかにした。中村はプロスルチアミン(アリナミン)の感染細胞に対する効果を検討し、CD4陽性Tリンパ球中のHTLV-Iウイルス量を優位に低下させることを明らかにした。久保田は、HTLV-I特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の解析を行い、CTLの機能的多様性が高いほど、生体内で発生する変異ウイルスをより効率よく認識し排除することを示した。宇宿は、HAM発症リスク計算式を未発症HTLV-Iキャリアに応用し、オッズ値が高いキャリアにおいては脊髄神経症状を示すことより、本計算式がキャリアからのHAM発症予測に有用であることを明らかにした。
結論
本研究により、HTLV-Iプロテアーゼ阻害剤の開発および発症予測の研究はさらに進展した。今回の研究を今後さらに発展させることで、当初の目標が達成できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-11
更新日
-