糖鎖修飾異常による遺伝性筋疾患の病態解明と治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500788A
報告書区分
総括
研究課題名
糖鎖修飾異常による遺伝性筋疾患の病態解明と治療法の開発に関する研究
課題番号
H16-こころ-020
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
西野 一三(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 林 由起子(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部)
  • 野口 悟(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋細胞膜タンパク質α-ジストログリカンの糖鎖修飾不全を原因とするα-ジストログリカノパチーとシアル酸合成酵素遺伝子の異常を原因とする縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(distal myopathy with rimmed vacuoles: DMRV)の病態解明と治療法開発。
研究方法
これまで、DMRVはGNE遺伝子のミスセンス変異で起こることが知られているが、依然としてモデルマウスは存在しない。GNEノックアウトマウスは胎生致死であることから、DMRVのモデルマウスとして、GNEノックアウトバックグラウンドに日本人DMRV患者で最も頻度の高いc.1714G>C (p.V572L)変異型ヒトGNE transgeneを有するマウスを作製する。
結果と考察
臨床的には、生後32週以降より、筋力低下とCK値上昇を示した。病理学的には、32週以降より、萎縮線維の出現とともに、筋線維内のアミロイド沈着を認めた。45週以降では、半数以上の個体に縁取り空胞が認められた。これらの病理変化は、腓腹筋と大腿四頭筋に特に強く認められた。生化学的には、骨格筋を含む各種臓器で、シアル酸含量が低下していた。
以上の結果は、我々の作製したモデルマウスが、臨床的・病理学的・生化学的にヒトDMRVを再現していることを示している。このモデルマウスを用いることで、DMRVのより詳細な病態解明を行うことが出来ると同時に、各種薬剤を用いたDMRVの根本的治療開発を目指した前臨床試験が可能となる。
結論
世界で初めて、ヒトDMRVを再現するモデルマウスの作製に成功した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-11
更新日
-