文献情報
文献番号
200500766A
報告書区分
総括
研究課題名
パーキンソン病PARK7の原因遺伝子DJ-1の機能と創薬応用
課題番号
H15-こころ-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
有賀 寛芳(北海道大学大学院薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
39,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
申請者が新規癌遺伝子として1997年に単離し研究をしてきたDJ-1は家族性パーキンソン病(PARK7)の原因遺伝子であることが報告され本研究プログラムが始まった。現在までにパーキンソン病患者で13箇所のDJ-1遺伝子変異(欠損、点突然変異)が報告されている。パーキンソン病発症の詳細な分子機構は明らかでなく、DJ-1が関与する神経変性疾患発症の分子機構解明と抗パーキンソン病治療薬の創製を目的とする
研究方法
DJ-1の結合タンパク質の同定し、その作用機作を培養細胞、DJ-1遺伝子改変マウスを使って解析する。また、パーキンソン病モデルラットにDJ-1を投与し、病態の改善を薬理学的に解析する。
結果と考察
DJ-1の結合タンパク質の同定し、その作用機作を培養細胞、DJ-1遺伝子改変マウスを使って解析する。また、パーキンソン病モデルラットにDJ-1を投与し、病態の改善を薬理学的に解析する。
DJ-1は転写調節、抗酸化ストレス、プロテアーゼの3つの機能を有することを明らかとした。DJ-1のプロテアーゼとしてPael受容体、-シヌクレイン、家族性アミロードシス(FAP)の原因タンパク質であるトランスサイレチンを同定した。孤発性パーキンソン病患者脳では、活性型である還元型DJ-1の欠如と異常なフォームの酸化型DJ-1が存在し、同時にパーキンソン病患者に見られるDJ-1変異体は抗酸化ストレス能の消失、現弱を示したことにより、DJ-1機能欠損との関連を明らかにした。更に、DJ-1はミトコンドリアcomplex 1サブユニットNDUFA4と結合し、DJ-1ノックダウン細胞ではcomplex 1の酵素活性が著しく低下していることにより、complex 1の正の制御因子であることも明らかとした。更に、6-OHDA投与パーキンソン病モデルマウスにDJ-1タンパク質を直接注入すると、ドーパミンニューロン死とそれに伴う行動異常が劇的に阻止されることを明らかとした。更に、DJ-1の活性部位である106番目のシステイン領域に結合するDJ-1結合化合物をin silicoで極めて短時間、かつ100%の効率で単離した。これらの化合物は不活性型であるDJ-1の酸化を防ぐことで、酸化ストレス誘導神経細胞死を顕著に抑制したことより、パーキンソン病の根本的治療薬になりうる。
DJ-1は転写調節、抗酸化ストレス、プロテアーゼの3つの機能を有することを明らかとした。DJ-1のプロテアーゼとしてPael受容体、-シヌクレイン、家族性アミロードシス(FAP)の原因タンパク質であるトランスサイレチンを同定した。孤発性パーキンソン病患者脳では、活性型である還元型DJ-1の欠如と異常なフォームの酸化型DJ-1が存在し、同時にパーキンソン病患者に見られるDJ-1変異体は抗酸化ストレス能の消失、現弱を示したことにより、DJ-1機能欠損との関連を明らかにした。更に、DJ-1はミトコンドリアcomplex 1サブユニットNDUFA4と結合し、DJ-1ノックダウン細胞ではcomplex 1の酵素活性が著しく低下していることにより、complex 1の正の制御因子であることも明らかとした。更に、6-OHDA投与パーキンソン病モデルマウスにDJ-1タンパク質を直接注入すると、ドーパミンニューロン死とそれに伴う行動異常が劇的に阻止されることを明らかとした。更に、DJ-1の活性部位である106番目のシステイン領域に結合するDJ-1結合化合物をin silicoで極めて短時間、かつ100%の効率で単離した。これらの化合物は不活性型であるDJ-1の酸化を防ぐことで、酸化ストレス誘導神経細胞死を顕著に抑制したことより、パーキンソン病の根本的治療薬になりうる。
結論
DJ-1は転写調節、抗酸化ストレス、プロテアーゼの3つの機能を有し、その機能破綻はパーキンソン病などの脳神経変性疾患、男性不妊、細胞癌化の原因となる。同時に、DJ-1、DJ-1結合化合物はパーキンソン病治療薬となる可能性を示した。
公開日・更新日
公開日
2006-04-25
更新日
-