衛生仮説を含めたアレルギー性疾患の発症関連環境要因の解明に関する前向きコホート及び横断研究

文献情報

文献番号
200500755A
報告書区分
総括
研究課題名
衛生仮説を含めたアレルギー性疾患の発症関連環境要因の解明に関する前向きコホート及び横断研究
課題番号
H17-免疫-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
三宅 吉博(福岡大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 廣田 良夫(大阪市立大学大学院 医学研究科)
  • 大矢 幸弘(国立成育医療センター 第一専門診療部)
  • 佐々木 敏(国立健康・栄養研究所 健康増進・人間栄養学研究系)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 技術評価部)
  • 田中 景子(福岡大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
29,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アレルギー疾患の発症要因及び予防要因の解明は予防医学上、最も重要な課題である。
本研究班の目的は、アレルギー疾患のリスク要因に関するエビデンスを蓄積することである。前向きコホート研究と横断研究の2本立てでアレルギーのリスク要因を解明する。
研究方法
出生前開始二世代継続前向きコホート研究である大阪母子保健研究では、平成13年11月より平成15年3月までベースライン調査を実施した。計1002名の妊婦がベースライン調査に参加した。生まれた子供の4ヶ月時追跡調査には867組の母子が参加した。以後、1歳6ヶ月時、2歳6ヶ月時、3歳6ヶ月時に追跡調査を実施し、質問調査票等を用いて情報を得ている。3歳6ヶ月時追跡調査では、遺伝子情報も得ている。650から700組の母子の参加を見込んでいる。
横断研究である琉球小児健康調査は平成16年度に、那覇市と名護市の全公立小中学生を対象に、質問調査票を用いて健康調査を実施した。38,212名中、28,897名が調査に参加した。平成17年11月、吹田市公立小中学生を対象に、28,642名中、6,791名が調査に参加した。平成18年1、2月に、福岡市公立小中学生26,028名のうち、平成18年3月3日現在、5,875名が調査に参加した。
結果と考察
大阪母子保健研究のベースラインデータでは、喫煙が喘息と正に関連し、受動喫煙がアレルギー性鼻炎と正に関連していた。海草、大豆、イソフラボン、魚介類由来n-3系不飽和脂肪酸摂取と有意に低いアレルギー性鼻炎有症率と関連していた。
4ヶ月時のアトピー性皮膚炎疑いについて、有意な正の関連を認めた要因は、高密度ダニ防止カバー使用、布団のダニ抗原半定量++、台所カビ、カセットコンロ使用有りである。週3回以上の掃除は有意に負の関連を認めた。妊娠時の母親の肉類摂取がリスクを高めた。
琉球小児健康調査では、兄弟数は各アレルギー疾患の低い有症率と有意に関連していた。台所のカビ、1年以内の風邪罹患及び両親のアレルギー既往と各アレルギー疾患有症率との間には有意な正の関連を認めた。受動喫煙は喘鳴のみで正の関連を認めた。栄養では、植物性脂質、ビタミンE、葉酸、ビタミンC、一価と多価不飽和脂肪酸摂取、ビタミンB1、カリウム、マンガン、葉酸、食物繊維、ショ糖摂取がいずれかのアレルギー疾患と有意な正の関連を認めた。コレステロール摂取とアトピー性皮膚炎は有意な負の関連を認めた。
結論
現時点では、アレルギー疾患のリスク要因について明確な結論を述べることはできない。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
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