病期別にみた肝がん治療法の費用効果およびQOLの観点からみた有効性に関する研究

文献情報

文献番号
200500720A
報告書区分
総括
研究課題名
病期別にみた肝がん治療法の費用効果およびQOLの観点からみた有効性に関する研究
課題番号
H16-肝炎-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
沖田 極(山口大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐田 通夫(久留米大学医学部)
  • 茶山 一彰(広島大学医学部)
  • 岡 正朗(山口大学医学部)
  • 井上 裕二(山口大学医学部)
  • 日野 啓輔(山口大学医学部)
  • 黒川 典枝(山口大学医学部)
  • 坂井田 功(山口大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病期別の肝細胞がん治療の費用効果を検討する目的で、がんの初発から死亡に至る経過を治療遷移の確率過程としてモデル化しシミュレーションを行う。本年度は昨年作成した費用効果解析のためのプレリミナリーモデルの妥当性を検証するとともに、研究班の3大学から肝細胞がん患者のデータを集積しより精度の高い費用効果モデルを作成する。
研究方法
3大学(山口大学、久留米大学、広島大学)の過去10年間の肝細胞がん患者のデータをデータベースとして作成した。また、肝細胞がんの治療アルゴリズムについては確立したものがないことから、研究班の3大学でのコンセンサスを基に作成した。治療とそのアウトカムにおける効用値は効用理論に沿ったrating scale, standard reference gamble, time trade-offの3法を用いて検討した。この効用値よるQOLを考慮したプレリミナリーモデル(単発小肝細胞がんの初発例をコホートとし、外科的切除と内科的局所療法の費用効果を検証する)でのモデルの妥当性検討した。
結果と考察
プレリミナリーモデルから得られた期待余命は山口大学の実データおよび原発性肝がん追跡調査結果とほぼ一致しモデルの妥当性が確認された。本結果からは単発小肝細胞がんの初回治療として外科的切除は内科的局所療法に比較しQOLを考慮しても費用効果的であることが判明した。一方で3大学から登録された肝細胞がん患者の実データは1919名、のべ入院回数4837回に及んだが、各大学の治療別寛解率は肝切除と化学療法ではほぼ同等であったが、その他の治療で差が大きかった。したがってこのような施設間での治療効果の差を考慮しても、今回作成した費用効果分析モデルが妥当であるかは更なる検討を行う必要がある。そして病期に応じた治療との効果・費用推定モデルへ展開していく予定である。
結論
単発小肝細胞がんの初発例をコホートとし、外科的切除と内科的局所療法の費用効果を検証するプレリミナリーモデルを構築して費用効果分析を行うと同時に、多数例の肝細胞がん患者の実データ登録することによりデータベースを作成してより精度の高い費用効果分析のモデル構築ための準備を行った。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
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