B型及びC型肝炎の疫学及び検診を含む肝炎対策に関する研究

文献情報

文献番号
200500716A
報告書区分
総括
研究課題名
B型及びC型肝炎の疫学及び検診を含む肝炎対策に関する研究
課題番号
H16-肝炎-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉澤 浩司(広島大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 阿部 弘一(岩手医科大学第一内科)
  • 池田 健次(虎ノ門病院消化器科)
  • 西口 修平(兵庫医科大学肝臓内科)
  • 金子 周一(金沢大学大学院医学系研究科がん制御学)
  • 茶山 一彰(広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子病態制御内科学)
  • 溝上 雅史(名古屋市立大学大学院 臨床分子情報医学分野)
  • 秋葉 隆(東京女子医科大学腎臓病総合医療センター血液浄化部門)
  • 田中 純子(広島大学大学院医歯薬学総合研究科 疫学・疾病制御学)
  • 三浦 宜彦(埼玉県立大学保健医療福祉学部)
  • 柚木 久雄(日赤中央血液研究所核酸増幅検査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
54,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の肝炎ウイルス感染の予防、肝炎ウイルスキャリア対策の推進に貢献することを目的とする。
研究方法
基礎医学、臨床医学、社会医学の専門家の参加を得て3年計画で実施する。
結果と考察
これまでに、以下の事項が明らかとなった。
(1)わが国では、HBVキャリアの52-57%、HCVキャリアの64-74%が肝がんの好発年齢である50歳から69歳の世代に偏在していること。
(2)核酸増幅検査(NAT)によりHBV DNA陽性と判定された献血者のうち、(?)30歳代以下の若い世代では「HBV感染早期群」が、また40歳以上の世代では、HBc抗体も同時に検出される「HBV感染晩期群」がそれぞれ大半を占めること。(?)若い世代を中心に、ジエノタイプAのHBV感染が広がりつつあること。
(3)透析室の環境改善、スタッフへの教育、訓練による手技の改善などを行なうことにより、透析医療施設におけるHCVの新たな感染を効率よく防止できること。
(4)ジエノタイプAのHBV感染に起因する急性B型肝炎例では、慢性化率が高いこと。
(5)観察開始時点におけるHBV DNAの定量値が「低値」(10の4乗コピー/ml未満)を示すHBVキャリアは、良後が良好であること。
(6)岩手県、茨城県南部、石川県、広島県、久留米地区、上五島地区等において、HBV、HCVキャリアの組織的な健康管理、治療体系の構築がすすめられている。
(7)ジエノタイプCのHBVをチンパンジーに接種する実験を行い、感染成立に必要な最少HBV量(HBV DNA量に換算)は、10コピー相当(絶対量)であること、「HBV感染早期」のHBVの複製はジエノタイプAに比べてジエノタイプCのHBVの方が速いことを明らかにした。
(8)ヒト肝細胞を移植したキメラマウスのHBV感染に対する感受性はチンパンジーと等価(HBV DNA量に換算して10コピー相当で感染が成立する)であること。また、HCVについても同様であることを明らかにした。
結論
これらの知見は、いずれも肝炎ウイルス感染の予防、肝炎ウイルスキャリア対策の推進のために基礎的データとして必須なものである。今後、特にHBV、HCVキャリアの健康管理、治療体系の構築については、他の地域でも応用可能な形にまとめて提示する。また、透析施設における肝炎ウイルス感染予防のためのマニュアルを作成、提示する予定である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-