開発途上国における薬剤耐性予防などARV治療の質的向上と推進に関わる研究

文献情報

文献番号
200500710A
報告書区分
総括
研究課題名
開発途上国における薬剤耐性予防などARV治療の質的向上と推進に関わる研究
課題番号
H17-エイズ-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
若杉 なおみ(国立国際医療センター研究所 疫学統計研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡慎一(国立国際医療センターエイズ治療研究開発センター)
  • 志村まり(国立国際医療センター研究所難治性疾患研究部難治性疾患研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、開発途上国のエイズ患者に対するARV(Antiretroviral)治療の量的拡大のみならず、質的向上を目的として、1)ARV治療による毒性の機序と実態、治療効果および薬剤耐性に関連するウイルス学的研究。2)結核との重感染者,妊婦・小児など特殊対応を必要とするグループのARV治療に関連する課題の解明を行う。
研究方法
1)ザンビアのエイズ患者におけるEFV(Efavirenz)の代謝酵素の遺伝子型変異の頻度とEFV副作用発現の実態と関連を把握し、治療費軽減にもつながるEFV投与量減量を射程においた研究(岡)。
2)HIV陽性妊婦から胎児への子宮内母子感染における胎盤の炎症(絨毛膜羊膜炎)の影響とその検出法、予防的治療の効果(若杉)。
3)結核・HIV二重感染者の、ザンビア国ルサカの貧困地域におけるコミュニティボランティアによる結核DOTS(直接監視下短期療法)+ARV治療の試みにおける、抗結核薬耐性頻度とその影響(石川・御手洗)をみる研究。
4) HIV感染における白血球減少および染色体異常の責任分子の同定とその測定法の確立とARV治療効果研究(志村)。
結果と考察
1)ザンビアのEFV治療開始あるいは予定のエイズ患者で、CYP2B6*6/*6の頻度が日本国内患者の3%よりも明らかに高頻度であるというpreliminaryな結果を得た。またEFV治療の副作用(めまい、不眠、精神症状など)に関する調査が進行中である。今後のEFV減量治療の効果に関する大規模臨床研究の準備も行なわれた。
2)ザンビアのHIV陽性妊婦における、絨毛膜羊膜炎のマーカーである子宮頚部顆粒球エラスターゼおよび出生児のHIV感染をPCRで測定することにより、胎盤の炎症がHIVの子宮内母子感染と最もよく関連することが明らかになった。
3)当該研究フィールドの結核患者の95%がHIV検査(VCT)を受け入れ80%にHIVの二重感染があることが判明した。
4)HIV-1のVprは総リンパ球数と逆相関し染色体異常(premature sister chromatid separation; PCS)の原因分子であることが明らかとなった。

結論
エイズ発症者・HIV感染率が世界でも最も高い南部アフリカ地域にあるザンビア国のエイズ患者のARV治療の現場で、感染者の治療に関連する本研究班の諸研究が着手され、preliminaryな興味ある成果が得られ始めた。

公開日・更新日

公開日
2008-06-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-12-25
更新日
-