RNAi耐性ウイルス株の出現に対処する第二世代のRNAi医薬品の開発

文献情報

文献番号
200500709A
報告書区分
総括
研究課題名
RNAi耐性ウイルス株の出現に対処する第二世代のRNAi医薬品の開発
課題番号
H17-エイズ-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高久 洋(千葉工業大学工学部生命環境科学科)
研究分担者(所属機関)
  • 橋本 香保子(千葉工業大学工学部生命環境科学科)
  • 黒崎 直子(千葉工業大学工学部生命環境科学科)
  • 山本 典生(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在認可を受けている抗HIV剤は薬剤耐性HIV-1変異体の出現と長期服用による副作用の問題を抱えている。これらの化学療法剤に代わる治療法としてRNA interference (RNAi) 法を用いた遺伝子治療が考えられている。短期治療ではどの薬剤より強力な抗エイズ薬となりうると思われるが、現在実際に治療に用いられているような薬剤と同じRNAi耐性ウイルス株の問題が生じることが報告された。そこで本研究では、RNAiの高い機能を生かしつつ、長期間ウイルス産生を抑制出来るような遺伝子医薬品の開発を遂行する。
研究方法
第二世代RNAiベクターはHIV-1 vifを標的としたshRNA(CS-vif)とデコイTAR(CS-TAR)を共発現するレンチウイルスベクター(CS-vif-TAR)を作製し、PBMC、H9細胞、Jurkat細胞に導入した。この細胞へHIV-1NL4-3または薬剤耐性HIV-1(HXB2/K65R)を感染させた後のHIV-1増殖抑制能について評価をした。また、ウイルスRNAのshRNA標的部位の配列を解析し、shRNA耐性株の出現についても検討した。さらにHIV-1 tat RNAおよびvif RNAを標的としたRNaseP誘導型EGS(EGS-tat)とtRNaseZ誘導型EGS(EGS-vif)も同様にHIV-1増殖抑制能について評価をした。
結果と考察
shRNAとデコイRNAを組合わせると、shRNAによるウイルス変異株が出現してもデコイRNAの抑制効果により、長期的にウイルス産生抑制効果を持続させることが明らかとなった。RNaseP誘導型とtRNaseZ誘導型EGSも同様に単独ではなく連続して発現するように設計することによりさらに高い抗HIV-1効果が得られることが示唆された。vif shRNAとデコイTARを組み合わせたCS-vif-TARは長期間野生型HIV-1の発現を抑制することや耐性ウイルス発現の遅延や発現頻度を減少することが明らかとなった。同時にCS-vif-TARは薬剤耐性HIV-1の増殖を強く抑制することが明らかとなった。
結論
本研究によって作製された第二世代RNAiベクターは野生株のHIV-1だけでなく、薬剤耐性株にも有効であることが示された。このことは第二世代RNAiベクターと従来のHAARTを組み合わせることで、より効果の高い新規治療法の開発が可能であることを意味する。

公開日・更新日

公開日
2006-07-03
更新日
-