同性愛者等のHIV感染リスク要因に基づく予防介入プログラムの開発及び効果に関する研究

文献情報

文献番号
200500708A
報告書区分
総括
研究課題名
同性愛者等のHIV感染リスク要因に基づく予防介入プログラムの開発及び効果に関する研究
課題番号
H15-エイズ-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大石 敏寛(特定非営利活動法人動くゲイとレズビアンの会)
研究分担者(所属機関)
  • 河口 和也(広島修道大学 人文学部)
  • 藤部 荒術(特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)ワークショップ型啓発手法「LIFEGUARD」を全国各地に普及すること
(2)介入効果が個人からコミュニティにどのように普及・波及するか明らかにすること
(3)同性間施策の各地への普及にあたり、地方自治体の取り組みの実態と課題を明らかにすること
研究方法
(1)予防啓発手法の開発研究では、①「LIFEGUARD」を全国へ拡大実施する、②実施記録より課題等を整理する、③効果のコミュニティへの普及に関して質問票調査を行う。
(2)予防啓発手法の効果評価研究では、①評価手法の効率・汎用性を向上する、②質問票調査により効果評価を行う。
(3)NGO-行政連携研究では、自治体を対象に同性間対策についての質問票調査を行い、現状分析する。
結果と考察
(1)手法の開発―①7地方ブロック23箇所で、「LIFEGUARD」を拡大実施し(2005年9月11日?2006年1月9日)、合計627名(平均年齢29.5)に介入した。介入場所のゲイバーがある全ての地方自治体で実施可能であり、若年層に普及できる手法であることが検証された。②プログラム普及に有用な「協力関係構築の5段階モデル」、アセスメント指標を完成させ、普及を進める参考資料となった。③効果のコミュニティへの普及の人数、対象の実態等を確認した。
(2)効果評価―①「LIFEGUARD」について、効率・汎用性向上を意図して改良した質問票により、介入の影響評価を行い、評価手法と指標について分析、課題を確認した。1ヶ月後の追跡では、効果の持続するものとしにくいものとがあることも分かり、今後の介入において活かすべき課題も明確となった。
(3)NGO-行政連携についての研究―①「個別施策層対策に関するアンケート」を行い(111自治体、回収率93.3%)、同性間対策の実態、NGOとの連携等について調査した。全国規模での同性間対策の実施状況を調査し、自治体種別毎に優先的な施策があること、予算化・事業化が進まない現状と方法論のなさなどの課題を確認した。
結論
介入効果の確認された手法であるワークショップ型啓発手法「LIFEGUARD」は、全国7地方ブロック23箇所(対象627名)で介入実施され、地方および中規模都市でも実施可能な普及型手法であることが実証された。自治体の同性間対策の実態調査も行い、各地の実情や課題をふまえ同性間対策を普及していくための基礎を構築した。

公開日・更新日

公開日
2006-06-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200500708B
報告書区分
総合
研究課題名
同性愛者等のHIV感染リスク要因に基づく予防介入プログラムの開発及び効果に関する研究
課題番号
H15-エイズ-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大石 敏寛(特定非営利活動法人動くゲイとレズビアンの会)
研究分担者(所属機関)
  • 河口 和也(広島修道大学 人文学部)
  • 藤部 荒術(特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会)
  • 鳩貝 啓美(特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)中小規模都市も含め全国で行えるプログラムを開発、実施し、普及すること
(2)介入の効果が、個人からコミュニティにどのように普及・波及するか(二次的普及)について明らかにすること
(3)同性間施策を各地へ普及できるよう、地方自治体と連携し、実態と実施上の課題を明らかにすること
研究方法
(1)予防啓発手法の開発についての研究
①ワークショップ型啓発手法「LIFEGUARD」を普及型として開発し、実施地域を拡大する
②実施過程を分析し、普及に有用な資料を作成する
③二次的普及について質問票調査を行う

(2)予防啓発手法の効果評価についての研究
①プログラムについて効果評価を実施する
②評価の効率・汎用性を向上する改良を行う

(3)NGO-行政連携についての研究
①地元自治体と連携して「LIFEGUARD」を実施する
②同性間対策をすすめるために自治体との意見交換を行う(面接および質問票調査)
結果と考察
(1)手法開発
①「LIFEGUARD」は、プレ介入(15年度)後介入効果のあるプログラムとして完成した(16年度)。17年度、7地方ブロック23箇所に拡大実施し、全国への普及型のプログラムであることを実証した。
②普及のために、「介入に至る関係構築の5段階モデル」とアセスメント指標を完成させた。
③普及理論(ロジャース;1982)に基づいた二次的普及のモデルを試案し、普及拡大のプロセスに関する調査を行った。

(2)効果評価
①プログラム開発段階(15,16年度)と普及段階(17年度)に形態評価と効果評価を行い、行動変容効果を測定し、プログラムの改良に活用した。
②評価の効率性・汎用性を高めるために、質問票項目を整理、見直し、1ヵ月後調査の協力者増加と安定的な回答のためのシステムを構築し、運用した。

(3NGO-行政連携
「LIFEGUARD」を地元自治体と連携試行し、同性間対策についての意見交換や、同性間対策に関わる27問の質問票調査(17年度)を行い、普及の障壁や課題を確認した。
結論
バー介入ワークショップ型啓発手法「LIFEGUARD」は、介入効果の確認された手法として完成された。そして、3年間で全国7地方ブロックのべ54箇所(対象者計1356名)で介入実施され、地方および中規模都市でも実施可能な普及型手法であることが実証された。今後は、各地への同性間対策の普及に向けた研究を継続することが課題である。

公開日・更新日

公開日
2006-06-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500708C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 感染率の高さと感染増加が常に言われてきた同性間対策において、①介入手法開発のための基礎研究・実態把握(平成12?14年)のもとに、②全国のどの自治体でも採用できる手法の開発(平成15-16年度)を経て、③効果の確認されたワークショップ型啓発手法LIFEGUARDを全国各地に普及していく研究を達成することができた。
 また、あわせて手法の効果を評価する研究も行い、自治体が採用する同性間施策の選択肢を増やした。さらには、行政が同性間施策に取り組めるという観点から普及を進めるべく、研究を開始した。
臨床的観点からの成果
同性愛者等個人に対する予防啓発手法として開発されたLIFEGUARDは、効果評価の結果以下の成果をあげた。
1.性感染に関する正確な知識の学習効果が確認された
2.同性間での性行為場面での、リスク行動を避けるための主張スキルなど、リスク行動に関わる要素(リスク要因)の体験的学習効果が確認された
3.介入1ヶ月後の性行動において、コンドーム携帯が有意に増加した
4.介入1ヶ月後の性行動は、対象を問わない場合(16年度研究)において、アナルセックスとオーラルセックスでの有意な行動変容が確認された
ガイドライン等の開発
 17年度総括研究報告書において報告の通り、以下のガイドライン・指標を確認した。
1.ワークショップ型啓発手法LIFEGUARD実施マニュアル 
2.ワークショップ型啓発手法LIFEGUARD開催用アウトリーチマニュアル 
3.行政へのNGOとの連携に関する提言文書 
 今後、同性間対策の普及に向けた研究を続け、地方自治体を支援しうるガイドラインとしての完成を目指す。
その他行政的観点からの成果
 全国各地の自治体における同性間対策の実態と課題を把握し、同性間施策の推進に向けた行政支援を行ってきたことがあげられる。主に以下の3点を成果として考えている。
1.LIFEGUARDの共同開催(東京都、埼玉県、川崎市、静岡市、北九州市) 
2.同性間対策の取り組みについての質問票調査(回収111自治体)
 3.同性間対策のコンサルテーション(14自治体) 
その他のインパクト
1.同性間のエイズ予防啓発普及の取り組みが主要メディアの取材を受け、社会に向けた正確な情報の普及に貢献した。
・ニューズウィーク日本版2005年7月20日号(阪急コミュニケーションズ発行)
・MTV(2005年10月撮影、2006年6月放映予定)
2.ワークショップ型啓発手法LIFEGUARDは地域メディアや同性愛者を対象としたメディアにとりあげられ、関心を集め、参加者の増加にもつながった。
・沖縄タイムス(2005年12月18日)
・G-men(ジープロジェクト発行、2006年1月号)

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
7件
「札幌・東京近郊および松山における男性同性愛者等のリスク要因調査と啓発介入の試み」エイズ対策情報交換.11(4)-(6)ほか
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
6件
日本エイズ学会15年度3、16年度2、日本公衆衛生学会15年度1
学会発表(国際学会等)
6件
国際エイズ会議16年度バンコク3、アジア太平洋地域国際エイズ会議17年度神戸3、
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
8件
「LIFEGUARD」実施=東京都15-17年度、埼玉県16-17年度、川崎市15-17年度
その他成果(普及・啓発活動)
54件
「LIFEGUARD」15年度15、16年度16、17年度23

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-07-02
更新日
-