多剤併用療法服薬の精神的、身体的負担軽減のための研究

文献情報

文献番号
200500706A
報告書区分
総括
研究課題名
多剤併用療法服薬の精神的、身体的負担軽減のための研究
課題番号
H16-エイズ-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 和子(国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター)
  • 小河原 光正(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター )
  • 桑原 健(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター )
  • 上田 良弘(関西医科大学附属洛西ニュータウン病院)
  • 西澤 雅子(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 山中 京子(大阪府立大学人間社会学部)
  • 越智 直哉(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
32,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今年度はHAARTが必要な患者が適切で完璧な服薬を長期間遂行できるために、服薬の継続の阻害要因を患者側(身体的、心理的負担など)と医療者側から明らかにし、それらを軽減するための支援方法を確立し、服薬支援ツールも開発する事である。また、この研究成果からHIV診療における外来チーム医療マニュアルを作成する。
研究方法
本研究では、1)患者側要因として1.ケア支援、2.副作用調査、3.心理支援、4.精神介入、2)医療者側要因として5.HAART調査、6.服薬指導調査、7.合併例HAART、8.耐性検査、3)服薬支援ツール開発として9.ホームページ(HP)開発、10.ツール開発の10研究につき研究を実施した。
結果と考察
患者の服薬行動についての精神的、身体的阻害因子や促進因子がある事と医療を提供する施設側にも要因があることが明らかになった。心理テスト分析から患者の精神心理的背景が明らかになった。ただ、今回の調査対象者は服薬への理解度が高く、怠薬患者が少なかったため怠薬の増悪に繋がる社会的背景を明らかに出来なかった。罹患年数の長さ、CD4の低下が怠薬の増加と関係が示され、病状に応じて、服薬指導を強化する必要性がある。抗HIV薬の在庫リスクは依然として高く、病院経営に及ぼす影響を考慮すると薬剤採用に影響する可能性を否定できない。多くの拠点病院の薬剤師が自らの服薬指導がまだ不十分であると自覚しており、服薬連携支援システムの確立が急務と考えた。服薬支援ツールでは“服薬時間お知らせメール”の配信後、遅延応答でも服薬したと扱われたため、時間内服薬の正確さの把握に欠けるなどの問題点があった。機能改修したシステムの開発によって、より正確な利用状況を把握でき患者の服薬の自己管理を支援できると期待できる。服薬に関連した機能を有するHPを開発でき、今後の活用が重要と考えた。研究成果から外来におけるチーム医療マニュアルを作成したが、今後、現場で使用し評価の後、改訂を行う必要がある。
結論
服薬の長期継続維持のために服薬アドヒアランスの阻害要因を患者側と医療者側から明らかにし、それらを軽減するための支援モデルを作成し、併せて服薬支援ツールを開発した。これらの研究結果から外来におけるチーム医療マニュアルを作成した。今後、研究を深め、全国の拠点病院等での服薬支援の実践に役立て、患者の服薬アドヒアランスの向上、維持につなげたい。

公開日・更新日

公開日
2006-07-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200500706B
報告書区分
総合
研究課題名
多剤併用療法服薬の精神的、身体的負担軽減のための研究
課題番号
H16-エイズ-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 和子(国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター )
  • 小河原 光正(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 桑原 健(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 上田 良弘(関西医科大学附属洛西ニュータウン病院)
  • 西澤 雅子(国立感染症研究所エイズ研究センター )
  • 山中 京子(大阪府立大学人間社会学部)
  • 越智 直哉(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HAARTが必要な患者が適切で完璧な服薬を長期間遂行できるために、服薬の継続の阻害要因を患者側(身体的、心理的負担など)と医療者側から明らかにし、それらを軽減するための支援方法を確立し、服薬支援ツールも開発する事が目的である。この研究成果から、HIV診療における外来チーム医療マニュアルを作成する。
研究方法
1)患者側要因として①ケア支援、②副作用調査、③心理支援、④精神介入、2)医療者側要因として⑤HAART調査、⑥服薬指導調査、⑦合併例HAART、⑧耐性検査、3)服薬支援ツール開発⑨ホームページ(HP)開発、⑩ツール開発の10研究につき10のグループで分担し研究を実施した。
結果と考察
研究から患者の服薬行動についての精神的、身体的阻害因子や促進因子がある事と医療を提供する施設側にも要因があることが明らかになった。抗HIV薬の在庫リスクは依然として高く、病院経営に及ぼす影響を考慮すると薬剤採用に影響する可能性を否定できない。多くの拠点病院の薬剤師が自らの服薬指導がまだ不十分であると自覚しており、服薬連携支援システムの確立が急務と考えた。服薬支援ツールでは“服薬時間お知らせメール”の配信後、遅延応答でも服薬したと扱われたため、時間内服薬の正確さの把握に欠けるなどの問題点があった。機能改修したシステムの開発を行う必要がある。服薬に関連した機能を有するHPを開発した。今後、患者数の増加が医療の供給を上回る事が予想され、患者がHPを利用し、自ら良好なアドヒアランスを保てれば、治療失敗率を軽減でき、発生する余分なコストを防げるかも知れない。抗HIV薬情報を分かりやすく解説し提供することは、服薬に欠かせない患者の判断を支持するのみならず、結果として医療費の抑制にもつながると思われ、重要と考えた。本研究成果から外来におけるチーム医療マニュアルを作成したが、今後、現場で使用し評価の後、改訂を行う必要がある。
結論
 服薬の長期継続維持のために服薬アドヒアランスの阻害要因を患者側と医療者側から明らかにし、それらを軽減するための支援モデルを作成し、併せて服薬支援ツールを開発した。これらの研究結果から外来におけるチーム医療マニュアルを作成した。今後研究を深め、全国の拠点病院等での服薬支援の実践に役立て、患者の服薬アドヒアランスの向上、維持につなげたい。

公開日・更新日

公開日
2006-06-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500706C

成果

専門的・学術的観点からの成果
海外の大規模臨床試験SMAARTの結果からHAARTの成否には服薬の継続が必須条件であると明らかにされた。本研究では正確な服薬継続する上での患者の精神・心理的、身体的、社会的負担を明らかにした。服薬に問題が無いように見える患者でも多くに服薬継続困難な要因が存在あるいは潜在していた。困難要因を1)患者側についてケア、社会心理、精神科医の視点から分析し、副作用の要因についても明らかにした。2)医療者側要因を医師、薬剤科等から分析した。具体的服薬支援ツールとしてホームページ開発、ツール開発を行った。
臨床的観点からの成果
正確な服薬の継続実施には阻害因子と促進因子がある。阻害因子は多くの患者で顕在あるいは潜在化しており、その支援は多職種によるチーム医療の提供が必要である事がわかった。服薬中断例では中断理由を医師、看護師、薬剤師、臨床心理士、ソーシャルワーカーらが専門的立場からアプローチして明らかにする事が効果のある対策を立案できる事がわかった。HIV感染症治療の場は外来が主体であるが、その成否は外来でのチーム医療の構築実施が不可欠であり、その在り方をマニュアルにまとめた。
ガイドライン等の開発
成果に基づき、HIV診療における外来チーム医療マニュアルを作成した。当マニュアル(HIV診療における外来チーム医療マニュアル)は平成18年3月2日付の厚生労働省告示第89号9p(第三 医療の提供、一 総合的な医療提供体制の確保、2項)および平成18年3月31日 疾病対策課長通知(後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の運用について )に記載された。
その他行政的観点からの成果
成果に基づき、HIV診療における外来チーム医療マニュアルを作成した。当マニュアル(HIV診療における外来チーム医療マニュアル)は平成18年3月2日付の厚生労働省告示第89号9p(第三 医療の提供、一 総合的な医療提供体制の確保、2項)および平成18年3月31日 疾病対策課長通知(後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の運用について )に記載された。
その他のインパクト
成果については今後、公開シンポジウム等を開催予定である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
6件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
HIV診療における外来チーム医療マニュアルの作成。
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-07-02
更新日
-