非サブタイプB型HIVにおける薬剤耐性ジェノタイプ解析アルゴリズムに関する研究

文献情報

文献番号
200500703A
報告書区分
総括
研究課題名
非サブタイプB型HIVにおける薬剤耐性ジェノタイプ解析アルゴリズムに関する研究
課題番号
H15-エイズ-020
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山本 直彦(名古屋大学大学院医学系研究科 環境医動物学)
研究分担者(所属機関)
  • 市村 宏(金沢大学大学院医学系研究科 国際環境保健学)
  • 大竹 徹(大阪府立公衆衛生研究所 病理課)
  • 金田 次弘(名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 磯村 思无(名古屋女子大学 家政学部)
  • 森下 高行(愛知県食品衛生検査所 検査課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
非サブタイプBのデータから導かれたジェノタイプ解析アルゴリズムの必要性が急務と考え、世界でも最もHIVの流行が懸念されているアジア・アフリカの途上国の地域に多く流行する非サブタイプBにおける薬剤耐性HIVの遺伝学的特徴を明らかにし、薬剤耐性ウイルスの伝播の要因を分析し、さらに日本への影響に関する知見を得る事を目的とする。
研究方法
インフォームドコンセントの下に、患者血清を採取し、逆転写酵素およびプロテアーゼ領域の変異部位を解析する。その結果と、関連する臨床的データーおよびサブタイプBを基にした薬剤耐性のデーターと比較検討し、新たに得られた逆転写酵素あるいはプロテアーゼ領域の変異部位におけるphenotypeを検討する。
結果と考察
今年度は以下の解析を行なった。すなわち、ケニアのNyumbani孤児院(ナイロビ市)において抗エイズ療法を受けているHIV感染小児12例から、RTI耐性関連アミノ酸変異の有無を解析し、M184V, M41L, L210W, T215Y, D67N, K70R, K219Qがみられた。また、ケニアの未治療HIV感染者48検体のうち、薬剤耐性関連遺伝子は3例見られ, うち1例はPR領域に見られ、従来のサブタイプB型には報告されていないV82Iであった。残り2例はRT領域に見られ、いずれもサブタイプB型に報告されているG190A、V118Iと同じであった。インドにおいて今年度中に収集した治療中のサブタイプC型HIV感染者27検体を解析した結果、11検体 (41%)に薬剤耐性関連遺伝子が見られ、うち1例は従来のサブタイプB型には報告されていないV118C, L210Sがみられた。 パキスタンにおける未治療HIV感染者58例中、6例(10%)に薬剤耐性関連遺伝子が見られ, うち4例はPR領域に見られ、従来のサブタイプB型には報告されていないV82Iであった。国内において、抗AIDS薬治療中のサブタイプAEの症例で、逆転写酵素領域においてI135Tが、プロテアーゼ領域において、K20T, V82I、さらに新しい部位として、L23IとM89Iが見られた。
結論
ケニアのナイロビ孤児院で抗エイズ療法を受けているHIV感染小児およびスラム地区における未治療HIV感染者、インド、パキスタンや日本国内における解析から、非サブタイプB型では、B型とは異なる耐性関連アミノ酸変異の出現パターンをとる場合があることが示唆され、サブタイプB型として報告されている耐性変異のデータのみでは、耐性変異が見逃される可能性があり、非サブタイプB型に特徴的な耐性変異のデータの蓄積が必要である事が判明した。

公開日・更新日

公開日
2006-06-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200500703B
報告書区分
総合
研究課題名
非サブタイプB型HIVにおける薬剤耐性ジェノタイプ解析アルゴリズムに関する研究
課題番号
H15-エイズ-020
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山本 直彦(名古屋大学大学院医学系研究科 環境医動物学)
研究分担者(所属機関)
  • 市村 宏(金沢大学大学院医学系研究科 国際環境保健学)
  • 大竹 徹(大阪府立公衆衛生研究所 病理課)
  • 金田 次弘(名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 磯村 思无(名古屋女子大学 家政学部)
  • 森下 高行(愛知県食品衛生検査所 検査課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
非サブタイプBのデータから導かれたジェノタイプ解析アルゴリズムの必要性が急務と考え、世界でも最もHIVの流行が懸念されているアジア・アフリカの途上国の地域に多く流行する非サブタイプBにおける薬剤耐性HIVの遺伝学的特徴を明らかにし、薬剤耐性ウイルスの伝播の要因を分析し、さらに日本への影響に関する知見を得る事を目的とする。
研究方法
インフォームドコンセントの下に、患者血清を採取し、逆転写酵素およびプロテアーゼ領域の変異部位を解析する。その結果と、関連する臨床的データーおよびサブタイプBを基にした薬剤耐性のデーターと比較検討し、新たに得られた逆転写酵素あるいはプロテアーゼ領域の変異部位におけるphenotypeを検討する。
結果と考察
これまでの3年間にわたる、ケニアのナイロビ孤児院での抗エイズ療法を受けているHIV感染小児およびスラム地区における未治療HIV感染者、インド、パキスタンや日本国内における非サブタイプB型HIV-1の解析から、現在臨床的に利用されているサブタイプBに基づく薬剤耐性データーと耐性部位が同じであっても報告されているアミノ酸変異が異なっていたものとして、K74I, K103S, V106I/M, Y115G, V118C, Y181D, C181Y, L210S/Lが逆転写酵素領域に、V82Iがプロテアーゼ領域に見られた。また、これまでのサブタイプBに基づく薬剤耐性データーには報告されていない新たな薬剤耐性変異の可能性があるものとして、サブタイプAにおいてQ11N, K20R,が、サブタイプCにおいてH208Yが、サブタイプDにおいてI135TとT139K,が、サブタイプGにおいてI135L/M,がみられた。また、ケニアのスラム街の未治療感染者における薬剤耐性変異の見られる陽性率は、サブタイプB型のgenotypeを基にした解析では、2002年:0%(63例中0例)、2003年:3%(65例中2例)、2004年:8%(74例中6例)と増加しているが、non-B型HIVに特徴的と思われる薬剤耐性変異も含めた解析では、2002年:3%(63例中2例)、2003年:14%(65例中9例)、2004年:19%(74例中14例)と陽性率の増加が見られている。
結論
これまでの解析から非サブタイプB型では、B型とは異なる耐性関連アミノ酸変異の出現パターンをとる場合があることが示唆され、サブタイプB型として報告されている耐性変異のデータのみでは、耐性変異が見逃される可能性があり、非サブタイプB型に特徴的な耐性変異のデータの蓄積が必要である事が判明した。

公開日・更新日

公開日
2006-06-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500703C

成果

専門的・学術的観点からの成果
非サブタイプB型HIVでは、B型とは異なる耐性関連アミノ酸変異の出現パターンをとる場合があることが示唆され、サブタイプB型として従来報告されている耐性変異のデータのみでは、耐性変異が見逃される可能性があり、非サブタイプB型に特徴的な耐性変異のデータの構築が必要である事が判明した。
臨床的観点からの成果
本研究課題である非サブタイプB型にみられた耐性変異のデータの蓄積は、世界でも最もHIVの流行が懸念されているアジア・アフリカの途上国の地域に多く流行する非サブタイプBに対する治療を行う上で、多いに有用であると思われる。
ガイドライン等の開発
今後、非サブタイプB型に特徴的な薬剤耐性変異のガイドラインを作成する上で、本研究課題における成果は多いに有益であると考える。
その他行政的観点からの成果
今回の調査では、フィールドがインド、アフリカが中心であったため、サブタイプは世界的に多いC型、A型が中心で、日本で、特に性的接触による感染者に多いサブタイプAEにいては、検体数が少なく、日本への影響については分析が困難であった。しかし、重要な問題であるので、現在中国、ベトナム等アジアを中心に調査を計画している。
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
21件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
平成16年日本エイズ学会、日本ウイルス学会、抗ウイルス研究会
学会発表(国際学会等)
3件
第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-07-02
更新日
-