日本薬局方・微生物試験法の国際調和対応のための調査と基礎研究

文献情報

文献番号
199700068A
報告書区分
総括
研究課題名
日本薬局方・微生物試験法の国際調和対応のための調査と基礎研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
三瀬 勝利(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小熊恵二(岡山大学医学部)
  • 佐々木次雄(国立感染症研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在PDG(Pharmaceutical Discussion Group)を中心に多くの微生物試験法が国際調和の対象試験法となっている。そのうち特に緊急性の高いクロストリディア試験の原案策定の作業を、ヨーロッパ連合薬局方(EP)が回覧した国際調和たたき台案を参考にして行う;また、JP13第一追補で改訂された滅菌法関係の解説が必要であり、この執筆・出版などを行う;併せてこの面のいくつかの基礎的研究を行うことを本年度の研究目的とした。
研究方法
1)クロストリディア試験法の原案作成では我が国の現状とEPのたたき台案とのギャップを埋める努力を行い、多数の関係者の意見を求めた。また培地の適合性などについても調査・試験した。
2)滅菌法関係では内外の識者の協力を仰ぎ、解説書を刊行した。また、高周波滅菌法、フィルター等を使用する滅菌法の問題点を調査した。
結果と考察
1)クロストリディア試験法ではEP試験法に収載されている増殖培地や選択培地の適合性を調べた結果、我が国の現状をかんがみ、2種類の培地を追加した。
2)無菌試験法との整合性を保つためvalidationに使用するClostridium perfringens株を追加・提案した。
3)滅菌法関係の多くの人達の協力を得て、日本規格協会から最終滅菌法と微生物殺滅法に関する解説書を刊行した。
4)高周波滅菌法に関してindicatorとしてBacillus stearothermophilusを用いて試験した結果、高圧蒸気滅菌と同様の有効性があることが証明された。
5)Kuopio大学と共同でnanobacteriaについて文献学的研究を行った結果、これが微生物であるという証拠は得られなかった。
EPのクロストリディア試験法ではあまり普遍的でない培地を使用しているため、我が国の実情にあっていない。また、無菌試験法との整合性もとられていない。先進的で取り入れるべき点の多い試験法でもあるので、たたき台案をもとにして培地などを付け加えた。我々も案は近い将来JPフォーラムに掲載され、識者の意見が求められることになろう。
滅菌法については今後はパラメトリックリリースに関する調和がJP、USP、EP間で必要となる。また、高周波滅菌は高温処理ができない熱不安定な医薬品に最適と考えられる。
結論
EPのたたき台案をもとに、若干の追加・修正を加えてクロストリディア試験法案を作成した。培地や使用菌株について我が国の実情にあったものを追加した。近くJPフォーラムに提案される予定である。また、滅菌法全体にわたる解説書を出版した。さらに高周波滅菌法もvalidationを行った結果、問題がないことがわかった。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)