薬剤耐性HIV発生動向把握のための検査方法・調査体制確立に関する研究

文献情報

文献番号
200500683A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤耐性HIV発生動向把握のための検査方法・調査体制確立に関する研究
課題番号
H16-エイズ-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
杉浦 亙(国立感染症研究所エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 桑原 健(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター薬剤科)
  • 潟永博之(国立国際医療センターエイズ治療・研究開発研究センター)
  • 金田次弘(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 加藤真吾(慶応義塾大学医学部微生物学)
  • 児玉栄一(京都大学ウィルス研究所・附属研究施設・感染免疫研究領域)
  • 巽 正志(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 松下修三(熊本大学エイズ学研究センター病態制御学分野)
  • 仲宗根 正(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 松田善衛(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 白阪琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センターHIV/AIDS先端医療開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
80,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新規HIV-1感染者における薬剤耐性HIV-1の発生・伝播動向を把握する全国規模の調査体制の確立と、薬剤耐性HIV-1症例の増加を抑制する有効な技術および協力体制の構築を目指す。
研究方法
薬剤耐性HIV-1の状況を調査する疫学調査研究グループ、適切な治療を支援する治療最適化研究グループ、そして薬剤耐性HIV-1の基礎研究を進める薬剤耐性基礎研究グループの3グループに分かれて研究を進めた。
結果と考察
疫学調査研究グループ:
(1)薬剤耐性検査のヴァリデーションを実施した。改善が必要な施設に対し個別に指導した。
(2) 2003-2004年に感染が確認された575症例の薬剤耐性遺伝子検査を実施した。薬剤耐性HIV-1の頻度は5.0%であった。薬剤クラス別に見るとNRTI:20例(3.5%)、NNRTI:7例(1.2%)、PI:5例(0.9%)であった。
治療最適化研究:
(1)血中濃度測定研究に関する情報提供を行った。
(2)LC-MS/MSを用いて細胞内efavirenzの定量を行った。
(3) HeLa細胞とT細胞系細胞株ではNFVの細胞内動態が異なることを明らかにした。
(4)服薬アドヒアランスを客観的に評価する毛髪からの薬剤定量技術を開発した。
(5) HIV-1インテグレーション部位の同定を試み、97%がイントロンに蓄積していることを明らかにした。
薬剤耐性基礎研究:
(1)核糖酸4位にエチニル基を有する新規核酸系阻害剤を見いだした。
(2)プロテアーゼ阻害剤耐性HIV-1感染症例では耐性変異が長期間維持されることを明らかにした。
(3) 尿中β2-microgrobulinがTenofovir腎障害の早期マーカーとして有用なことを明らかにした。
(4)T7RNAポリメラーゼトランスファーを介した膜融合の定量評価系を作成した。
(5)薬剤耐性症例より391個の感染性クローンを樹立した。
(6)超高感度RT活性測定法による3TC・AZT耐性検出系を確立した。
(7) D30N-L90M変異体が二量体としての安定性が低いということを明らかにした。
結論
2003年-2004年の新規感染・診断症例における薬剤耐性の頻度が5.0%であることが明らかになった。治療最適化研究では情報と検査を提供しその普及に大きく貢献した。基礎研究では薬剤耐性化機序の解析と新たな検査技術開発に取り組んだ。

公開日・更新日

公開日
2006-07-03
更新日
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