NGOによる個別施策層の支援とその評価に関する研究

文献情報

文献番号
200500681A
報告書区分
総括
研究課題名
NGOによる個別施策層の支援とその評価に関する研究
課題番号
H17-エイズ-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
樽井 正義(慶應義塾大学文学部)
研究分担者(所属機関)
  • 沢田 貴志(港町診療所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内のHIV感染・AIDS発症報告の約4分の1を外国籍が占めること、ARV治療が途上国でも普及し始めたことを踏まえ、外国籍住民の医療アクセスに関する現状とニーズ、および母国における医療環境の現状を調査し、外国籍住民並びに支援NGO、医療機関、行政機関に必要とされる情報を提供し、これによって外国籍住民の受検と受診を促進し、併せて感染予防をはかる。
研究方法
外国籍住民のHIV感染予防と治療の現状については、アジア12カ国の共同研究State of Health(CARAM-Asia・アムステルダム自由大学)の一環として、医療アクセスに関わる社会・文化的規定因子を明らかにするために、支援NGOとの連携により、在日タイ住民、ラテン系住民に対してフォーカス・グループ・インタビュー調査を行った。母国の医療環境については、多数のアフリカ人の出身地である西アフリカ(ナイジェリア、ガーナ)に関して情報を収集した。外国籍住民の診療に際して医療機関が直面する問題を、在日公館、NGO、医療機関から収集した情報を分析した。
結果と考察
外国籍住民の医療アクセスを規定する因子として「代替治療等健康行動の選択肢」「医療・保健情報へのアクセス」「財政・経済状況」「生活・労働環境」「支援メカニズム」「コミュニケーション」「社会・人間関係」等が分類され、多因子間の複雑な相関性も推測された。西アフリカの医療情報は、帰国する在日アフリカ人PLWHAとケア提供者のためのガイドブッ2005年度版にまとめた。また外国人診療での問題として、コミュニケーションをはかるための医療通訳、医療費補助等に関して利用可能な制度・法令、外国人の生活背景と支援資源、母国の医療環境と帰国支援の4つを抽出し、その対応策を、外国人HIV医療生活相談担当者マニュアル2005年版(暫定版)に整理した。
結論
外国籍住民にはHIV感染予防、検査、治療に関する健康情報が不足している。予防、受検、受診を促進するには、そうした情報のみを提供するのではなく、コミュニティにとって切実な問題である失業・貧困、滞在資格・入管、家族問題などへの包括的・根源的対応のなかに健康問題を位置づける必要性が示された。

公開日・更新日

公開日
2015-07-02
更新日
-