文献情報
文献番号
200500678A
報告書区分
総括
研究課題名
節足動物媒介性ウイルスに対する診断法の確立、疫学及びワクチン開発に関する研究
課題番号
H15-新興-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高崎 智彦(国立感染症研究所ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
- 倉根 一郎(国立感染症研究所ウイルス第一部)
- 小西 英二(神戸大学医学部医療基礎学講座)
- 小林 睦生(国立感染症研究所昆虫医科学部)
- 江下 優樹(大分大学医学部感染分子病態制御講座)
- 奴久妻 聡一(神戸市環境保健研究所微生物部)
- 只野 昌之(琉球大学医学部ウイルス学講座)
- 名和 優(埼玉医科大学微生物学講座)
- 森田 公一(長崎大学熱帯医学研究所分子構造解析分野)
- 西條 政幸(国立感染症研究所ウイルス第一部)
- 前田 秋彦(北海道大学大学院獣医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
節足動物媒介性ウイルスは数十種がヒトに病気をおこし、新興・再興感染症として、また日本にとっては輸入感染症として重要な位置を占める感染症である。節足動物媒介性ウイルスに対する血清診断法と病原体診断法の確立、媒介節足動物とウイルスの浸淫状況を把握する技術開発と現状の把握、節足動物媒介性ウイルスに対する新型ワクチンの開発のための研究を実施する。
研究方法
リアルイルタイムRT-PCR法、IgM捕捉ELISA法、ウイルス分離、ウイルス遺伝子解析、CDCトラップ法による蚊の捕集および分類、IgA捕捉ELISA法、RT-LAMP法などの手法を用いヒトや豚におけるサーベイランスおよび検査法の開発を実施した。イナトミシオカにWNV含有血液を吸血させ感染性を確認する。分子生物学的手法を用いたWNV、デングウイルス新型ワクチンの開発と免疫法の工夫。サルを用いたデングウイルスの病態解析を実施した。
結果と考察
クリミア・コンゴ出血熱のTaqMan PCR法を開発した。54例のデング輸入感染症の存在を明らかにし、死亡1例を確認した。デング熱検査法としてIgA検査法を確立した。チクングニヤ熱の血清診断法を開発した。日本脳炎遺伝子1型ウイルス分離株中にマウスに高い病原性を示すウイルスが確認した。2005年には関東以西のブタから31株の日本脳炎ウイルスを分離した。東北地方におけるヒトスジシマカの分布域拡大を確認し、日本のイナトミシオカがウエストナイルウイルスに感受性を有することを確認した。タンパクワクチンとデング4価DNAワクチンの混合投与によりマウスに高い中和抗体を誘導することを示した。E型肝炎ウイルスのウイルス様中空粒子 (HEV-VLPs)にデングウイルス粒子構成蛋白prMおよびE蛋白を発現するDNAワクチンをパッケージングし、ウイルス遺伝子導入が可能であった。
結論
クリミア・コンゴ出血熱、チクングニア熱の実験室診断法を開発した。多くのデングウイルス輸入感染症の存在を明らかにし、死亡例1例を確認した。デング熱の検査法とてIgA検査法を評価確立した。H17年は関東以西で日本脳炎ウイルスの活動が高かった。東北地方におけるヒトスジシマカの分布域拡大を確認し、日本産イナトミシオカがWNVに感受性を有する。タンパクワクチンとデング4価DNAワクチンの混合投与は有用であり、E型肝炎ウイルス中空粒子を用いたデング経口ワクチン開発の可能性を示した。
公開日・更新日
公開日
2006-04-12
更新日
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