海外渡航者に対する予防接種のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200500675A
報告書区分
総括
研究課題名
海外渡航者に対する予防接種のあり方に関する研究
課題番号
H17-新興-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
尾内 一信(川崎医科大学小児科学2講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)海外渡航者が渡航地で必要な予防接種を受け、安全に渡航できるシステムを構築する。
(2)MRワクチンの2回接種の有効性・安全性が確認する。
研究方法
(1)海外渡航時に罹患する感染症のうちワクチンで予防可能な疾患を対象として、海外における邦人の罹患状況の調査を行う。
(2)海外と日本のトラベルクリニックを調査し、トラベルワクチンの接種の現状を比較する。
(3)海外で汎用されているが本邦では未承認のトラベルワクチンの有効性と安全性を調査する。
(4)未承認トラベルワクチンの供給(輸入)と補償システムの構築を模索する。
(5)トラベルワクチンに関する最新の情報を提供できるシステムを構築する。
(6)MRワクチン2回接種の有効性・安全性を確認する。
結果と考察
(1)渡航時に邦人がA型肝炎、腸チフス、B型肝炎、コレラの感染機会が予想以上に多いことが明らかとなった。
(2)医療機関では,渡航者に対する医療や渡航者の診療のニーズが非常に高いことが判明した.しかし,渡航者用ワクチンに取り組んでいる医療機関が公表されていない県が10県もあり,渡航者用ワクチンへの対応の今後更なる取り組みが必要と考えられた.また、大学や企業の海外派遣においても渡航者への予防接種の対応が十分でなく,海外での罹患者が多いことが判明した.我が国の現状は渡航医学の発達したドイツのトラベルクリニックや渡航者用ワクチン接種の実態と比較すると著しく改善の余地があると思われた.
(3)未認可ワクチンのうちニーズが高い腸チフスワクチンと髄膜炎菌ワクチンの臨床研究を開始した。
(4)未認可渡航者用ワクチンの供給システムについて検討したが,輸入割当など手続きが非常に煩雑であり,現時点では物流時の温度管理など実績のある指定輸入業者に依頼することが適切であると考えられた.
(5)渡航者用未認可ワクチンの接種事故に対する補償システムの構築を検討している.
(6) MRワクチン2回接種の対象症例の確定や研究計画の立案を行った。
結論
渡航時に邦人がワクチンで予防できる感染症に予想以上に罹患していることが明らかとなった。このように、渡航者への医療のニーズは高いにもかかわらず、トラベルクリニックの整備や渡航者用ワクチンの対応は十分でない。今後渡航者用ワクチン接種の更なる啓蒙と未認可ワクチンの供給や補償システムの構築が必要であり、本研究班ではこれを目指す。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-