野生げっ歯類及び節足動物に由来する感染症の診断、疫学及び予防に関する研究

文献情報

文献番号
200500668A
報告書区分
総括
研究課題名
野生げっ歯類及び節足動物に由来する感染症の診断、疫学及び予防に関する研究
課題番号
H16-新興-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高島 郁夫(北海道大学大学院獣医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 苅和宏明(北海道大学大学院獣医学研究科)
  • 有川二郎(北海道大学大学院医学研究科)
  • 福士秀人(岐阜大学農学部獣医学研究科)
  • 丸山総一(日本大学生物資源学部獣医学科)
  • 林谷秀樹(東京農工大学農学部獣医学科)
  • 岩崎琢也(長崎大学熱帯医学研究所)
  • 辻正義(酪農学園大学獣医学部)
  • 福長将仁(福山大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ダニ媒介性脳炎、ハンタウイルス感染症、バベシア感染症、Q熱、ボレリア感染症、エルシニア感染症について、精度の高い診断法を確立し、疫学調査を実施して国内汚染地の特定とヒトにおける感染状況の解明に努める。輸入げっ歯類の検査体制を整える。海外においても調査を実施し、疫学情報を収集する。
研究方法
ダニ媒介性脳炎およびハンタウイルス感染症のELISAによる血清診断法を開発する。Coxeillaを培養細胞に接種し、抗原として蛍光抗体法による血清診断法を開発する。エルシニア感染症とバベシア感染症の疫学調査を実施する。回帰熱ボレリアの菌体表層蛋白の発現を行う。
結果と考察
ダニ媒介性脳炎の準ウイルス様粒子を用いてIgG-ELISAおよびIgM-ELISAによる感度と特異性に優れた人用の血清診断法の開発を行った。アジア諸国において疫学調査を実施しハンタウイルス感染症の病原巣の野生げっ歯類の種類と流行ウイルス型を特定した。Bartonella感染症の国内での野生げっ歯類における疫学調査を実施し、アカネズミ(56.3%、27/48)、ヒメネズミ(59.1%、13/22)が陽性であることを明らかにした。Yesinia感染症についてサルの感染致死例を発見した。B.rodhainiがヒト赤血球に寄生することを証明した。アライグマがB.mcroti様原虫を国内に持ち込んでいる実態を明らかにした。回帰熱ボレリアの抗原蛋白遺伝子3種をクローン化して発現させた。
結論
ダニ媒介性脳炎のELISAによる生ウイルスを用いない安全な血清診断法が開発された。ハンタウイルスの感染血清型を特定できる抗体スクリーニングシステムが確立された。Q熱の顕性感染者と不顕性感染者の鑑別が可能となった。日本国内に生息するアカネズミとヒメネズミがヒトに視神経網膜炎を起すBartonella菌を保菌することが判明した。国内に生息するアライグマがBabesia microti様原虫を保有することが判明した。回帰熱ボレリアの抗原蛋白の大量発現に成功した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-07
更新日
-