有用な結核対策(BCG及び結核感染特異的診断に関する費用対効果分析等)に関する研究

文献情報

文献番号
200500666A
報告書区分
総括
研究課題名
有用な結核対策(BCG及び結核感染特異的診断に関する費用対効果分析等)に関する研究
課題番号
H17-新興-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
坂谷 光則(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究分担者(所属機関)
  • 高松勇(大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)
  • 矢野郁也(日本BCG研究所中央研究所)
  • 小倉剛((財)結核予防会大阪府支部 財)結核予防会大阪病院 )
  • 倉島篤行(国立病院機構東京病院 臨床研究部)
  • 原寿郎(九州大学大学院医学研究院)
  • 螺良英郎((財)大阪結核研究会 (財)結核予防会大阪府支部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.(A)結核発症ハイリスク集団〔①結核患者接触者、②零細企業従業員、③老人ホーム、④糖尿病・抗リウマチ薬治療患者、⑥結核疾患医療従事者等〕及び(B)デインジャーグループ〔発病すると他に影響 (教職員、医療関係者)〕の結核対策(選択的な定期健診・BCG接種を強化)を行うことを目的。
2.上記グループの定期健診及び BCGの費用対効果解明。
3.BCG接種集団の背景因子を考慮した疫学分析数学モデルの確立。
4.BCGの成人結核予防有効性のエビデンスに基づく研究をハイリスク集団にも適用拡大。
5.定期健診(ツ反)の代替策として、新しい結核感染特異的診断法Quantiferon (QFT)の開発と費用対効果を解析。
研究方法
1.ハイリスク集団・デインジャーグループの当院職員のQFT結核診断とツ反診断を比較。
2.老人ホームの結核患者接触者・零細企業従業員・小児結核をQFT診断。
3.大阪府下10市でのBCG接種の費用対効果解析。
4.BCG接種の全国的現状調査と将来の方向性解析。
結果と考察
1.結核感染ハイリスク集団・デインジャーグループの当院職員260名にQFT。医師等はQFT陽性率12%。事務等QFT陽性率0%。ツ反は全群で57%陽性。QFTの方がツ反より結核の感染を正確に反映。結核感染特異性、INH予防投与による副作用の効果を考えると費用対効果QFTの方がツ反より優れている。結核性肋膜炎においてQFT診断は費用対効果UP。QFT陽性時は結核感染の診断的価値が高い。
2.BCG接種と費用対効果。大阪府下10市のツ反・BCG接種は、半日出動か1日出動体制かでおこなわれたが、BCG接種1件あたりの費用は大差がなかった。実施体制の効率化により費用を節減しうる。
3.BCGは医療従事者で接種群と非接種群で現時点(3年後)で差はない。
4.BCGにおいて背景因子(既感染率等)費用対効果の数学的モデルを作製。一人あたりの結核患者発生予防費用は1400万円と推定。
5.ツ反に代わる新しい皮内反応による結核特異診断法DPPDを開発。BCGより1万倍強力な新しい結核ワクチン(Hsp65DNA+IL-12DNAワクチン)を開発。
結論
1.結核感染ハイリスク集団・デインジャーグループにおけるQFT診断の結果、費用対効果はQFTの方がツ反より優れていることを明らかにした。
2.BCGワクチンは医療従事者で接種群と非接種群で現時点(3年後)で差はない。
3.BCG接種において費用対効果の数学モデルを作製。
4.上記集団のBCG接種の有用性を検証。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-