SARS、バイオテロ、インフルエンザ対策としてのリアルタイム・アウトブレイーク・サーベイランスシステム構築のための基礎的研究

文献情報

文献番号
200500644A
報告書区分
総括
研究課題名
SARS、バイオテロ、インフルエンザ対策としてのリアルタイム・アウトブレイーク・サーベイランスシステム構築のための基礎的研究
課題番号
H16-新興-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大日 康史(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 杉浦弘明(医療法人医純会すぎうら医院)
  • 中山裕雄(中山小児科内科医院)
  • 村田厚夫(医療法人和白病院)
  • 重松美加(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 谷口清州(国立感染症研究所感染症情報センター )
  • 奥村徹(順天堂大学医学部 救急・災害医学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では日本における精度の高い症候群サーベイランスの構築を目指して、まずはその可能性の検討、あるいはノイズの中からシグナルを抽出する統計学モデルの開発を行っているが、本年度は第2年度でもあり、試験的な検討を広範囲に進めた。その結果を受けて最終年度に当たる来年度での暫定的なまとめを展望する。また、症候群サーベイランスの一つの特殊な形態として、インフルエンザ患者の毎日報告を検討する。
研究方法
一般用医薬品は600店舗、外来受診時は4医療機関、救急搬送は1消防機関、救急外来および入院は1医療機関での症候群サーベイランスを前向きに運用した。防衛庁(陸上自衛隊)についても行った。また、「インフルエンザによる患者数の迅速把握事業(毎日患者報告)」と、MLインフルエンザ流行前線情報データベースも運用した。
結果と考察
一般用医薬品では半分の地域で約2週間ほど先行して流行が探知されることが明らかになった。外来受診時、救急搬送、救急外来では実用的な精度を確認した。また外来受診時では地域的な流行を探知した。入院患者における症候群サーベイランスは既知の院内感染を探知した。防衛庁における症候群サーベイランスでは3名以上のクラスターは必ず検出された。インフルエンザ患者の毎日患者報告、MLインフルエンザ流行前線情報データベースは大きな問題なく運用された。二年間の検討を通じて、少なくとも一般用医薬品、外来受診時、救急搬送時の症候群サーベイランスは、その有効性および感度・特異度が確かめられた。したがって、それらの実用化が直ちに可能であると思われる。しかしながらその実用に関しては、いくつかの解決すべき課題が残されている。

結論
将来的には同一地域においても個別の医療機関や消防機関、あるいは薬局や学校等の施設で個別に流行探知することはもちろん重要であるが、症候群サーベイランスの欠点である特異度を高めるために、それらの情報を地域的に集約し、統合し、評価することが必要である。このような試行的な症候群サーベイランスによって得られた知見は、7月には外務省主催のバイオテロ対策の会議においてASEAN諸国に対して報告した。また、中国衛生部や広東省衛生当局にも技術供与している。本研究で得られた知見、特に探知アルゴリズムに関しては、2005年4月から稼働する国の感染症サーベイランスシステムの構築においても、活用された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
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