文献情報
文献番号
                      200500642A
                  報告書区分
                      総括
                  研究課題名
                      ペプチド抗体によるSARS(重症急性呼吸器症候群)診断の迅速化
                  研究課題名(英字)
                      -
                  課題番号
                      H16-新興-012
                  研究年度
                      平成17(2005)年度
                  研究代表者(所属機関)
                      伊東 恭悟(久留米大学 医学部)
                  研究分担者(所属機関)
                      - 笹月 健彦(国立国際医療センター)
 - 七條 茂樹(久留米大学 医学部 )
 - 切替 照雄(国立国際医療センター)
 
研究区分
                      厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
                  研究開始年度
                      平成16(2004)年度
                  研究終了予定年度
                      平成18(2006)年度
                  研究費
                      9,000,000円
                  研究者交替、所属機関変更
                      -
                  研究報告書(概要版)
研究目的
            1.昨年度同定したSARSウイルスの構造蛋白質由来エピトープペプチドを用いた迅速診断法を確立する。2.抗体により認識されるT細胞エピトープペプチドを同定し、SARSの治療ワクチンの開発及び病因解明のための情報を得る。
      研究方法
            SARS感染患者血清は昨年度収集して管理保存していたものを使用した。SARS-CoVのゲノム遺伝子配列(AY278488.2)からウイルス遺伝子がコードするタンパク由来ペプチドHLA拘束性ペプチドを340種類合成し、患者血清抗体により認識され且つ健常人末梢血からのCTL誘導実験で選別した。イムノクロマト簡易キット試作品の評価はP3相当クリーンルーム内のバイオハザードベンチ内で3人独立に判定してその平均を最終評価とした。各種ペプチドに対する抗体は、Luminexを用いたflowmetryで行った。
      結果と考察
            本研究は、ベトナム保健省の倫理委員会及び国立国際医療センター倫理委員会の承認の基に実施した。1.昨年度同定したSARSウイルスの構造タンパク由来のS791ペプチドを用いたイムノクロマト簡易型診断キットを作成するために、ペプチドのマトリックスへの結合様式の検討などの基礎研究を行い、S791に対して約70%の感染者で抗体を検出できるキットの開発を行った。イムノクロマト法は設備がない地域での迅速検査が可能となるため、感染力が強く且つ致死的な感染症の感染拡大の抑止に効果的であると考えられる。2.SARSウイルス蛋白質由来のHLA拘束性ペプチド340種類のうち、感染患者の液性免疫系に認識される12種類のうち9種類で日本人健常者末梢血単核球よりCTL誘導が認められた。これらのペプチドのうち1つは他の微生物とのシークエンスホモロジーを有するペプチドであることが判明した。また、感染者及び健常人でのT細胞エピトープの同定は、これらのペプチドによる診断、病態機序の解明、および治療ワクチンへの応用の可能性が得られるものと考えられる。
      結論
            S791ペプチドを抗原としたイムノクロマト法により74%の感染初期患者血清中で抗体が検出できた。また、血清抗体が認識する12種類のペプチドのうち9種類のペプチドで日本人健常人末梢血からのT細胞誘導が確認された。これらのペプチドの中には他の微生物とのシークエンスホモロジーを有するペプチドがあることが判明した。
      公開日・更新日
公開日
          2006-04-05
        更新日
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