文献情報
文献番号
200500641A
報告書区分
総括
研究課題名
SARSコロナウイルス検査法の精度向上及び迅速化に関する研究
課題番号
H16-新興-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
森川 茂(国立感染症研究所ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
- 森田 公一(長崎大学熱帯医学研究所)
- 松浦 善治(大阪大学微生物病研究所)
- 奥野 良信(大阪府立公衆衛生研究所感染症部)
- 田代 眞人(国立感染症研究所ウイルス第三部)
- 納富 継宣(栄研化学株式会社生物化学研究所)
- 北村 義浩(東京大学医科学研究所)
- 長谷川 秀樹(国立感染症研究所感染病理部)
- 棚林 清(国立感染症研究所獣医科学部)
- 福士 秀悦(国立感染症研究所ウイルス第一部)
- 永田 典代(国立感染症研究所感染病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
SARSは1類感染症に指定されている。実験室感染を回避できるウイルス培養を必要としない血清診断系の開発を行う。他の呼吸器感染症との鑑別診断も行う。昨年度に引き続き、ウイルス培養の必要のない組換え抗原による抗体検出法の開発、SARS-CoVを用いない安全なウイルス中和抗体測定法の開発、イムノクロマト法の開発、LAMP法によるSARS-CoV検出の至適化と改善、鑑別診断法の開発、小動物モデル系の開発、サルへのSARS-CoV感染系の解析を行った。
研究方法
1)血清診断法:組換えN蛋白を用いたIgM-ELISA法を作製した。また、S蛋白を被ったVSV-シュードタイプによる中和抗体測定法を開発した。イムノクロマト法の基礎検討を行なった。
2)遺伝子検出法:LAMP法の感度向上のための基礎検討を行った。鑑別診断用LAMP法を開発した。改良RDA法を用いた検出法を開発した。
3)モデル動物系:SARS-CoV感染サルにおけるウイルスの動態と免疫応答を解析した。ウイルスをラットに馴化した。ACE2トランスジェニックマウス細胞のウイルス感受性を検討した。
2)遺伝子検出法:LAMP法の感度向上のための基礎検討を行った。鑑別診断用LAMP法を開発した。改良RDA法を用いた検出法を開発した。
3)モデル動物系:SARS-CoV感染サルにおけるウイルスの動態と免疫応答を解析した。ウイルスをラットに馴化した。ACE2トランスジェニックマウス細胞のウイルス感受性を検討した。
結果と考察
1)血清診断法:他のコロナウイルスとホモロジーの高い領域を除いた組換えN蛋白を用いたIgM抗体検出法によりより早期に抗体検出できた。VSV-シュードタイプを用いる中和抗体測定の感度、精度を明らかにし迅速測定法が確立できた。イムノクロマト法に用いるS蛋白の単クローン抗体を作製した。2)遺伝子検出法: LAMP法は、抽出RNAを濃縮することで5-10倍高感度になった。迅速鑑別用LAMP法を開発した。3)モデル動物系:気管内接種後7日目サルの肺、肺門リンパ節、脾、腸間膜リンパ節および胃から直腸におよぶ腸管からウイルスが検出された。ラットでウイルスを継代すると増殖性、病原性が増強した。トランスジェニックマウスの肺、腎初代培養細胞でのウイルス増殖は、対照マウス由来細胞に比べて格段に高かった。これらは、より迅速で安全な実験室診断の確立につながるものである。
結論
SARS-CoVの培養系を使用しない血清診断系により、実験室感染のリスクを回避でき、迅速に抗体測定が可能である。LAMP法は極めて高感度であるが、検出感度の向上によりさらに確実な診断が可能となる。感染サル材料を用いて、開発された検査法の精度、感度検定が可能である。有用な小動物モデル系の開発が可能となった。
公開日・更新日
公開日
2006-04-10
更新日
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