動物由来感染症のサーベイランス手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500634A
報告書区分
総括
研究課題名
動物由来感染症のサーベイランス手法の開発に関する研究
課題番号
H16-新興-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山田 章雄(国立感染症研究所獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所ウイルス1部)
  • 今岡 浩一(国立感染症研究所獣医科学部)
  • 井上 智(国立感染症研究所獣医科学部)
  • 棚林 清(国立感染症研究所獣医科学部)
  • 渡辺 治雄(国立感染症研究所副所長)
  • 岩崎 琢也(長崎大学熱帯医学研究所宿主病態解析部門)
  • 喜田 宏(北海道大学獣医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いかなる動物におけるいかなる動物由来感染症をサーベイランスの対象とするかを科学的に明らかにすること、サーベイランスを実施するために不可欠な血清診断法、病原診断法の整備状況の把握ならびに開発及びサーベイランスの手法そのものの開発、サーベイランスのモデル構築を目的とする。

研究方法
遺伝子検出における陽性参照品の作製は標準的な分子生物学的手法によった。炭疽菌の遺伝子配列はPyrosequencing社製のPSQ96により、リアルタイムで決定した。ウエストナイルウイルスに対する抗体検出は中和試験およびELISAを用いた。他の血清学的手法については標準的方法を用いた。
結果と考察
狂犬病、ニパウイルスの遺伝子診断時に不可欠な陽性対照RNAを作出した。炭疽菌の16s rRNAのV1, V3領域の塩基配列をパイロシーケンシング法により迅速に同定することを可能にした。ウイルス非構造蛋白であるNS1に対する抗体測定系を確立し、動物インフルエンザウイルスの感染とワクチン接種によって獲得される抗体を判別できることを示した。鼠咬症の国内のラット及び輸入げっ歯類における病原体保有状況を引き続き調査した結果、国内の野生ラットでは高率に菌が検出されたが、実験用ラット並びに輸入げっ歯類からは検出されなかった。レプトスピラについて国内の野生動物における病原体保有状況を引き続き調査した結果、国内の広範囲に棲息するシカ、イノシシがレプトスピラを保有していることが明らかになった。野兎病に関してはノウサギに抗体が認められたものがあったことから、今後も調査を継続する必要性が示された。ウエストナイルウイルスの早期検出を目的とした死亡カラスの調査システムの改良を図った。渡り鳥において抗ウエストナイルウイルス抗体保有調査を開始した。カモの一検体で、中和抗体が陽性と考えられる個体があったが、日本脳炎ウイルスに対しても同様の抗体価を示したため、鳥における抗体測定法の更なる改良の必要性が明らかになった。昨年度開発したオウム病クラミジアを主に検出するPCRの有用性を確認するとともに、動物由来クラミジアを網羅的に検出するリアルタイムPCRの開発を行った。更に斃死輸入愛玩鳥のクラミジア保有率を調査したところ、18%が陽性であることが明らかになった。
結論
昨年度に引き続き動物由来感染症対策としてのサーベイランス体制整備をすべき疾患並びに対象動物を選定する手段を検討した。また、実際のモデルを運用するために必要なネットワーク構築を試みた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-