食品由来の2類感染症のリスクアセスメントモデル構築に関する研究

文献情報

文献番号
200500632A
報告書区分
総括
研究課題名
食品由来の2類感染症のリスクアセスメントモデル構築に関する研究
課題番号
H17-新興-013
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂貴(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺治雄(国立感染症研究所)
  • 岡部信彦(国立感染症研究所)
  • 相楽裕子(横浜市民病院)
  • 牧野壮一(帯広畜産大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、一部を除いて2類感染症は常在していないと考えられている。一方、発生状況を見ると、国内発生例は存在する。原因は輸入食品と考えられるが、集団・散発とも、食材残品が無いなど特定されないことがほとんどである。国内発生例について、リスクファクターを推定する。
また、食品検査のための赤痢とコレラの検出法を検討する。
研究方法
2001年度から2005年度の感染症発生動向調査の解析とリスクファクターの解析
PFGE法を用いた腸チフスパラチフス菌株調査
PCR法を用いた赤痢菌の分離法及びコレラ菌の検出法の改良
結果と考察
2005年度は腸チフス患者は48名(7名)、パラチフス患者18名(3名)、コレラ患者49名(9名)、赤痢患者528名(122名)( )内は推定国内感染例
年によって増減はあるがこの傾向は変わっていない。
原因食品はほとんどが不明(赤痢でカキが原因となったことがある)。
1997年のコレラに関する調査では、同じPFGE型の株が全国各地から検出され、特定はされなかったが食品等によるいわゆる"Diffuse Outbreak"が疑われた。
寿司店、飲食店、幼稚園・保育園、保養施設での2類感染症の集団発生(赤痢)が報告されている。
腸チフスは過去7年間の分離株を遡り調査し32例報告があったが、集団発生の報告はなかった。また、食品との関連は不明であった。2002年に食品(カキ)由来2株を分離し疫学マーカーによるタイピングにより、PFGE及びファージ型が一致(46型)PFGEパターンはタイ由来株と類似していた。
厚生省通達の牡蠣からの赤痢菌分離法の迅速・高感度化を図った。ストマッカー処理とビーズ破砕法による基質DNA調整法およびリアルタイムPCR法を併用することにより、1個以下の赤痢菌汚染牡蠣の検出を可能にした。
コレラ菌の検出に関する通知法では、PCRの内部標準が無いため、pBR322 DNAを内部標準として試験法の精度を検証した。食品への添加回収試験により、同法の精度及び感度について検証した。実際の食品からのコレラ検査において、非特異反応が見られた事例について検証し、通知法のPCR条件と、内部標準コントロールが原因であることを明らかにした。
結論
国内での感染経路が不明なものが多く、輸入食品や環境分離株のサーベイが必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-