インフルエンザをはじめとした、各種の予防接種の政策評価に関する分析疫学研究

文献情報

文献番号
200500631A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザをはじめとした、各種の予防接種の政策評価に関する分析疫学研究
課題番号
H17-新興-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
廣田 良夫(大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
  • TIMOTHY M UYEKI(米国疾病管理センター(CDC)インフルエンザ局疫学部)
  • 森 満(札幌医科大学医学部公衆衛生学講座)
  • 鷲尾 昌一(札幌医科大学医学部公衆衛生学講座)
  • 山口 直人(東京女子医科大学衛生学公衆衛生学第Ⅱ講座)
  • 小島原 典子(東京女子医科大学衛生学公衆衛生学第Ⅱ講座)
  • 中島 一敏(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 小笹 晃太郎(京都府立医科大学大学院医学研究科)
  • 藤枝 恵(大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学)
  • 田中 恵太郎(佐賀大学医学部社会医学講座予防医学分野)
  • 加藤 達夫(聖マリアンナ医科大学小児科)
  • 鈴木 幹三(名古屋市港保健所)
  • 林 嘉光(名古屋市厚生院)
  • 伊藤 雄平(久留米大学医療センター小児科)
  • 加瀬 哲男(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 入江 伸(医療法人相生会九州臨床薬理クリニック)
  • 秦 靖枝(牛久市民福祉の会茨城県立医療大学)
  • 大久保 一郎(筑波大学大学院人間総合研究科学研究科)
  • 井手 三郎(聖マリア学院短期大学)
  • 越田 理恵(金沢市保健福祉局健康推進部)
  • 下内 昭(大阪市保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
分析疫学の専門家を中心に、臨床家、医療経済学者、微生物学者、市民団体代表、行政担当者などからなる研究班を組織し、インフルエンザワクチンの有効性、免疫原性、費用対効果、社会容認性などについて調査研究する。また、それらの手法を応用して、他のワクチンについても検討する。
研究方法
1.分析疫学:異なる対象集団でワクチン有効性や免疫原性を研究すると共に、ワクチンの医療費低減効果を実測する。
2.応用調査:文献調査や情報整理を行い、参考資料や啓発資料の形にまとめる。
3.適応評価:地域住民、施設入所者、接種担当者などを対象に、接種制度の適確性、接種・非接種理由、公費補助などについて調査する。
4.顧問グループ:専門知識を提供するため、呼吸器内科、小児科、ウイルス学、老人医療、公衆衛生の専門家からなる顧問グループを組織する。
結果と考察
主要な結果は以下の通りである。
1.異なる調査で、有効性を支持する結果を得た(例:ILIに対する調整OR=0.55;ILI患者1人当たり平均超過医療費は、接種群12,354円、非接種群17,280円)。
2.0歳児における抗体誘導は、A(H1)に対しては2回接種でも他の年齢層に比べて低かった。A(H3)に対しては、2回接種後は他の年齢層に近似した。B型に対してはいずれの年齢層においてもA型に比べて応答が低い。
3.米国予防接種諮問委員会勧告を報告し、(財)日本公衆衛生学会から出版した。
4.インフルエンザワクチン接種の公費補助開始後5年間の状況は、平均して、全体費用4,163円、自己負担額1,131円、公費補助額2,960円であり、大きな変動は見られない。
5.呼吸器専門医は、肺炎球菌ワクチン非使用の理由に、過去の接種歴不明をあげている。副反応回避に利用できる記録の整備が重要である。
結論
1.多くの集団でインフルエンザワクチンの有効性研究を行ったが、必ずしも総てで安定した結果は報告されていない。今後メタアナリシスなどにより、結果を要約することが必要である。
2.インフルエンザワクチン接種の公費補助に関する、全体費用、自己負担額、公費補助額などは、我が国の接種制度の現状を示す数値として常に把握しておく必要がある。
3.ワクチン接種推進方策を確立するためには、施設入所高齢者、地域住民、担当医師などのワクチン接種に関する実態や考え方を把握しておくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-19
更新日
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