効果的な結核対策(定期健診やBCGに関する費用対効果分析等)に関する研究

文献情報

文献番号
200500629A
報告書区分
総括
研究課題名
効果的な結核対策(定期健診やBCGに関する費用対効果分析等)に関する研究
課題番号
H17-新興-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
石川 信克(財団法人結核予防会結核研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 阿彦忠之(山形県村山総合支庁保健福祉環境部)
  • 伊藤邦彦(財団法人結核予防会結核研究所 研究部)
  • 豊田恵美子(国立国際医療センター呼吸器科)
  • 大森正子(財団法人結核予防会結核研究所 研究部)
  • 吉山崇(財団法人結核予防会複十字病院 第一診療部)
  • 加藤誠也(財団法人結核予防会結核研究所 研究部)
  • 下内昭(大阪市健康福祉局)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
17年4月に施行された改正結核予防法のもとで,国及び地方公共団体が早急に取り組むべき課題や具体的な方策を明らかにするとともに,より長期的な視点で効果的な対策を進めるための方策を探求する
研究方法
①効果的な患者発見,②医療提供のあり方,③入院治療のあり方,④発生動向調査のあり方,⑤対策の評価,⑥対策体制づくり,⑦都市の特定集団に対する対策,をテーマに研究を行った。研究方法は,アンケート調査,登録患者の再調査,ワークショップ,現地視察,モデル作成による理論的な解析,結核菌の分子疫学的解析などによった。
結果と考察
改正結核予防法の施行にあたって行われたアンケートでは、対策現場の混乱や戸惑いが明らかになった。これに続く、結核予防法の感染症法への統廃合の問題に関連して、緊急に両法律の比較検討を行い、法律制定過程、法的措置になる対象疾患の性質や数に大きな違いがあることが明らかになった。現在の対策上の課題である都市結核については、ホームレスに対する健診や支援強化が有効であること、分子疫学的な方法によってこれらのクラスター形成率が高いことが明らかにされた。一方、罹患率が低い山形県での患者発見に関する調査で、60歳以上の高齢の患者で発病危険因子である基礎疾患への配慮不足が患者発見の遅れの要因となっていること、また、59歳以下では健診の役割が予想以上に高かったことが報告された。各種介入に関するモデル作成に基づく費用と効果に関する研究では、潜在結核感染の治療は、特にクォンティフェロンを用いると医療費の節約になることが明らかになった。中長期的な課題として、低まん延状況における対策のあり方を探るために実施された、英国スタディツアーでは、健康危機管理のために創設されたHeath Protection Agencyが対策の技術的な中心になっていることが注目された。
疫学分析では、地域格差の拡大傾向があり、対策としては、大都市特有の課題、分権化された自治体間の連携の課題があり、個別の対応とともに、広域の対応が必要である。
結論
改正結核予防法の施行、感染症法への統廃合、入退院基準の変更など結核対策は激変している。結核は実数で減少しているが、地域による質・量の差が大きく、都市部ではハイリスク者への個別的対応とともに、連携や広域の取り組みが必須となりつつある。一方、低まん延状況では技術的適正性の確保が課題になるものと予想される。

公開日・更新日

公開日
2006-06-05
更新日
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