アジア地域との研究ネットワークの活用による多剤耐性結核の制御に関する研究

文献情報

文献番号
200500628A
報告書区分
総括
研究課題名
アジア地域との研究ネットワークの活用による多剤耐性結核の制御に関する研究
課題番号
H17-新興-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 全司(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究分担者(所属機関)
  • 菅原 勇(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 服部俊夫(東北大学大学院医学研究科)
  • 野内英樹(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 慶長直人(国立国際医療センター)
  • 櫻田紳策(国立国際医療センター)
  • 高鳥毛敏雄(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 赤川清子(国立感染症研究所)
  • 阿部千代治(ベクトン・ディッキンソン研究所)
  • 坂谷光則(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.多剤耐性結核の多数発症が日本・世界(特にアジア地域)で大問題。有効な治療法がない。したがって、アジア地域との研究ネットワークを、一層強固にし、多剤耐性結核制御研究を行う。
2.アジア地域のコホート研究。
3.新しい結核予防・治療ワクチン、化学療法剤を開発。
4.多剤耐性結核の宿主要因、菌側の要因解明。
5.スーパー・スプレッダー(S・S)多剤耐性結核菌の対策。
研究方法
1.アジア地域、特にタイ、中国(瀋陽、河南省)、インド、フィリピン等の多剤耐性結核、の菌側因子及び宿主要因を解析。
2.フィリピンのサルの系で結核ワクチン予防・治療。
結果と考察
1.アジア地域との研究ネットワークは、一層強固になった。
(1)タイ:(チェンライ県)多剤耐性結核の分子・疫学コホート対策について検討。
実験室を整備し研究スタート。
(2)中国、フィリピン:多剤耐性結核菌DNAを入手。
(a)アジア地域(中国瀋陽)の多剤耐性結核菌DNAをVNTR:12%で日本のS・S多剤耐性結核菌と全く同じVNTR配列を発見。
(b)河南省では、EB耐性遺伝子解明。
(3)インド:インドの大学と実情を調査し、現地との結核ワクチン研究協力体制確立。
(4)TB国際会議(アジアの多剤耐性結核)を岡田、野内が発表(ハノイ)。国際的評価。
(5)シンガポール:発見したINH低レベル耐性菌を解析。
2.HVJ/Hsp65+IL-12DNAワクチンは、多剤耐性結核に対する強力な治療ワクチンであることを発見。
3.BCGよりも1万倍強力な結核予防ワクチン効果。(マウス)。
4.サルで100%生存率の画期的な結核予防ワクチン効果。
5.新しい化学療法剤(OPC,CPZ)が多剤耐性結核に有効。
6.TRIF/MyD88が結核に重要。
7.結核菌殺傷タンパクGranulysin (Gra) 遺伝子導入マウス作製に成功。多剤耐性結核患者でキラーT産生Gra低下。
8.臨床応用プラスミドベクター(pVAX1)を用い、マウス、モルモット、サルで解析中。
9.この結核予防・治療ワクチン・化学療法剤の開発はアジア地域の多剤耐性結核対策に貢献し、日本国内行政・国際協力施策に極めて重要。
結論
1.タイ・インド・中国・フィリピンで多剤耐性結核の分子・疫学コホート研究。
2.アジア地域(中国)にもS・S多剤耐性結核菌を初めて発見。
3.BCGより1万倍強力な結核予防ワクチン(Hsp65+IL-12DNA) 開発に成功。
4.このワクチンが多剤耐性結核治療効果。世界で最初の発見。
5.多剤耐性結核に有効な新しい化学療法剤の開発に成功。

公開日・更新日

公開日
2006-04-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-