文献情報
文献番号
200500627A
報告書区分
総括
研究課題名
ウエストナイルウイルス侵入に備えての診断、予防対策への基盤的研究
課題番号
H17-新興-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
- 岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
- 小島 朝人(国立感染症研究所 感染病理部)
- 小林 睦生(国立感染症研究所 昆虫医科学部)
- 佐多 徹太郎 (国立感染症研究所 感染病理部)
- 高崎 智彦(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
- 森田 公一(長崎大学 熱帯医学研究所)
- 山田 章雄(国立感染症研究所 獣医科学部)
- 森 康子(医薬品基盤研究所 基盤研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
120,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ウエストナイルウイルス活動地域が拡大している。仮に日本に本ウイルスが侵入した場合には急速に各地に侵淫することも予想される。さらに、海外において感染した疑い患者が帰国した場合には、迅速な確定診断が必要となる。従って、ウエストナイルウイルス感染対策としてウイルス、ヒト、蚊、トリ等多面的な研究が要求される。ウエストナイルウイルス対策のための総合的科学基盤の確立を目的とした。
研究方法
研究は大きく疫学研究、検査・診断研究(予防・治療法研究、蚊検査法研究、鳥検査法研究)、予防・治療法研究(ワクチン開発基盤研究、病原性治療法基礎研究)の3項目に分けて遂行された。主任研究者、分担研究者計9名が遂行した。
結果と考察
疫学研究においてはウエストナイル熱流行状況に関する国民向け情報をホームページに掲載し啓発を行った。検査・診断研究においては、(1)病原体・血清検査法を確立した。(2)初のウエストナイル熱患者の確定診断を行った。(3)検査キット用非感染性ウイルス用粒子を作製した。(4)蚊からのウイルス分離法、感染蚊検出法を確立した。(5)日本における媒介蚊の分布域の変化を明らかにした。(6)鳥類からの遺伝子検出法を確立した。予防・治療法研究においては、(1)組織培養細胞由来不活性化ワクチンの試験的作製し、動物における防御能を示した。またワクチンの力価試験法を確立した。(2)サブユニットワクチン候補用蛋白発現ベクターを構築した。(3)免疫におけるアルミアジュバントの有用性を確認した。(5)病態解明のための動物モデルを作製した。成果は、ウエストナイル熱・脳炎に対する国民の理解の増進、ウエストナイル熱・脳炎の輸入症例や国内発生時の診断、ウイルス水際対策の促進、ウイルス侵入時における媒介蚊対策、鳥類による国内へのウエストナイルウイルス侵入のサーベイランス、ワクチン開発の促進、病原性の科学基盤に基づいた治療法開発、への活用が可能である。
結論
ウエストナイルウイルス進入に備えての基盤的研究として、疫学研究、検査・診断研究(予防・治療法研究、蚊検査法研究、鳥検査法研究)、予防・治療法研究(ワクチン開発基盤研究、病原性治療法基礎研究)の3項目に分けて研究を遂行し、ウエストナイルウイルス対策のための総合的科学基盤を進展させた。以上により、わが国における総合的なウエストナイルウイルス対策の推進が可能となる。
公開日・更新日
公開日
2006-04-10
更新日
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