文献情報
文献番号
200500622A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児聴覚スクリーニングと精密聴力検査及び人工内耳手術の成果に関する長期追跡研究
課題番号
H17-感覚器-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
加我 君孝(東京大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 山岨 達也(東京大学 医学部)
- 福島 邦博(岡山大学 医学部)
- 坂田 英明(埼玉県立小児医療センター)
- 城間 将江(国際医療福祉大学)
- 内山 勉(富士見台聴こえとことばの教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
先天性難聴が新生児聴覚スクリーニングを経て発見された場合と経ずに発見された場合の問題点を長期追跡で明らかにする。精密聴力検査精度向上のための研究並びに増加する人工内耳手術後の問題点を明らかにする。
研究方法
1)スクリーニングを経て精密聴力検査で難聴が発見された場合と、経ずに発見された場合の年齢差の調査と難聴児通園施設でのスクリーニングを経た難聴児と経ない難聴児の聴覚のリハビリテーション開始年齢差の調査。2)難聴を示したABRの追跡で正常化例の病態生理解明と骨導ABR併用の意義の研究。3)CT、MRIによる乳幼児の画像診断で側頭骨の特徴を明らかにする。4)スクリーニングを経て早期教育を行ったが人工内耳手術を受けた例と経ずに難聴が発見され人工内耳手術を受けた例の年齢差を調べ、その後の経過を比較研究。5)人工内耳手術を受けた小児を持つ両親へのアンケートで直面する問題点を調査。6)喃語も難聴児の早期発見の補助診断に使う方法を検討。
結果と考察
1)スクリーニング後に精密聴力検査機関で難聴が診断される平均年齢は約6ヶ月、経ないために発見が遅れた平均年齢は3歳、全国の通園施設の早期教育年齢はスクリーニングを経た例は平均約6ヶ月、経ない例は約3歳で、スクリーニングの効果は極めて大きい。2)難聴児ABR正常化例で初期ABRは伝音難聴を疑わせる例が少なくなく、初めから骨導ABRを併用すれば精密な診断が可能。3) CT、MRIを用いて調べ、新生児期の1/3は乳突蜂巣、中耳腔に異常陰影を認めた。4)スクリーニングで難聴が早期発見され人工内耳手術を受けた場合の手術年齢は2?3歳、経ずに発見された場合の手術年齢は3?4歳と1歳以上の年齢差があった。5)東大病院で人工内耳手術を受けた46名の幼小児を持つ両親へのアンケート調査の結果、人工内耳手術に対して肯定的で喜びも大きいが、学校の対応に改善要望と病院や社会からの支援に対し希望の大きいことがわかった。6)ノートパソコンで外来で喃語の音響分析可能なソフトウェアを開発した。
結論
新生児聴覚スクリーニングは先天性難聴が精密聴力検査で生後約6ヶ月迄に発見され早期教育を可能とする理想的な方法で、結果、他に合併症がない限り補聴下で良好な聴覚・言語獲得可能となり補聴器の効果がない場合でも内耳奇形などの合併がない限り早期人工内耳手術を可能とし就学年齢では高い聴覚・音声・言語機能をもった。
公開日・更新日
公開日
2006-04-18
更新日
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