内耳プロテオーム解析を応用した外リンパ瘻の新たな診断法の開発・治療指針の作成

文献情報

文献番号
200500621A
報告書区分
総括
研究課題名
内耳プロテオーム解析を応用した外リンパ瘻の新たな診断法の開発・治療指針の作成
課題番号
H17-感覚器-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
池園 哲郎(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 明彦(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 渡邉 淳(日本医科大学 第2生化学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
26,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 難聴・平衡障害の原因疾患「外リンパ瘻」は迅速に手術治療を行うことで劇的な治療効果が得られる疾患である。本研究の目的は外リンパ瘻の新たな確定診断法を開発して、早期に確定診断し、治癒率の向上をもたらすことにある。
研究方法
  確実にCTPを検出するためには、高い検出感度、特異度が求められる。数種類のポリクローナル(polyAb)、およびモノクローナル抗CTPペプチド抗体(moAb)を使用し、ウェスタンブロット法、イミュノクロマト法の基礎研究を行い、至適条件を設定、検査システムのクオリティーコントロールを確立する。
 このシステムを用いて臨床症例の検討を行う。対象疾患は、1.従来の診断基準による、特発性外リンパ瘻疑い例、2.耳かきによる外傷性鼓膜穿孔、3.側頭骨骨折、4.真珠腫性中耳炎内耳瘻孔、5.奇形に伴う外リンパ瘻、等の中耳洗浄サンプルを採取してCTPの存在を判定する。
 また、CTPの基礎研究も行う。正常内耳ならびにDFNA9症例のCochlinの発現を蛋白科学的に検討する。
結果と考察
 今回の1年間の研究計画はほぼ達成された。ウェスタンブロットを用いたCTP検出検査の基礎実験を行った。検体検出限界、標準品検出下限を測定し、これをサンプルと毎回泳動することにより本検査のクオリティーコントロール(検査精度管理)が可能になった。毎回しっかりと精度を管理した本検査を用いて、125検体のCTPの発現特異性を検討し、CTPの外リンパ特異性が100%であることを証明した。
 この検査方法を用いて、実際の外リンパ瘻臨床症例を検査し臨床の現場での活用法を検討中である。今後さらに検査感度のさらなる向上が求められる。また、検査の迅速化、臨床の現場で用いる検査法(POCT)確率のためイミュノクロマト法の基礎研究を行っている。本年度作成したモノクローナル抗体は残念ながら期待された特異性、感受性に達しなかった。抗体の作成は、実際に行ってみて初めてその品質が評価される。現在、新たな抗体を新た名方法で作製すべく検討中である。
結論
 本検査は世界で初めて外リンパ瘻の生化学的確定診断を可能にするものであり、国内外の臨床家、基礎研究者から多くの注目を集めている。今後、本研究成果を広め、国内外でマルチセンタースタディーを行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2006-05-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-