新しい無侵襲的網膜機能計測法の開発および臨床応用

文献情報

文献番号
200500609A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい無侵襲的網膜機能計測法の開発および臨床応用
課題番号
H16-感覚器-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
角田 和繁(独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 谷藤 学(独立行政法人理化学研究所脳科学総合研究センター)
  • 東 範行(国立成育医療センター)
  • 平形 明人(杏林大学)
  • 篠田 啓(独立行政法人国立病院機構東京医療センター)
  • 楠城 紹生(株式会社ニデック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
視覚的機能を他覚的に評価することは、眼疾患の早期発見および治療効果の判定のために基本的かつ重要な課題である。本研究は、申請者らが開発した網膜神経機能の画像診断法(網膜内因性信号計測法)を発展させ、臨床応用可能な計測システムを確立することを目的とする。
研究方法
 網膜内因性信号計測法とは神経活動に伴って生じる組織反射率の変化(内因性信号)をビデオカメラで捉えるものであり、神経活動の高い部分が画像上明瞭に描出される。研究の実施にあたっては、①測定装置本体、周辺機器およびデータ解析ソフトウェアーの開発(製作、改良)、②実験動物および正常ヒト眼底を用いた網膜内因性信号の基礎データの収集、③内因性信号計測の原理に基づいた対象疾患の選定、および最終的には患者を対象とした臨床治験、などの方法がとられる。
結果と考察
これまでの研究により、以下の成果が得られている。1)内因性信号計測法による錐体視細胞・杆体視細胞の機能的マッピングを、動物眼において数秒間で行うことが可能になった。さらに、網膜電図(ERG)との比較により、網膜内因性信号計測法がERGのb波と同等の閾値をもつ非常に感度の高い計測法であることが分かった。2)視神経乳頭部の機能を、光刺激による網膜内因性信号の上昇として捉えることができた。3)正常ヒト被験者において、内因性信号による網膜反射率変化を捉えることに成功した。4)大脳皮質における計測および網膜電気生理学的記録等の検討により、網膜内因性信号の発生起源についての新たな知見が得られた。5)視物質の褪色変化による視細胞機能のマッピングを、従来よりも簡便に行う方法を開発した。
結論
 網膜内因性信号計測法の臨床応用にむけて機器開発、生体基礎実験、基礎的臨床データ収集の各研究部門が大きな進展を見せ、総合的にも実用化に向けての意義ある進捗が得られた。
 

公開日・更新日

公開日
2006-07-25
更新日
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