精神障害者の正しい理解に基づく、ライフサイクルに応じた生活支援と退院促進に関する研究

文献情報

文献番号
200501390A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の正しい理解に基づく、ライフサイクルに応じた生活支援と退院促進に関する研究
課題番号
H16-障害-016
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
北井 暁子(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島 正(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
  • 大嶋 正浩(医療法人社団至空会 メンタルクリニック・ダダ)
  • 新居 昭紀(社会福祉法人 聖隷三方原病院)
  • 菅原 道哉(東邦大学医学部精神神経科教室)
  • 山内 慶太(慶應義塾大学看護医療学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ライフステージと健康状態に応じた精神科医療と自立支援サービスを体系的に提供する地域ネットワーク、居住の場、社会復帰を支援する地域の育成等、精神障害者がライフステージに応じて利用できる地域システムを明らかにする。
研究方法
精神科デイケア等の利用者を対象にした質問紙調査、重度精神障害者を対象に行った訪問型支援の分析、サービスニーズ等調査の分析、退院促進支援事業実績報告の分析等を行った。
結果と考察
精神科デイケア等の利用者を対象として、治療効果(過去と現在の変化)が大きく認められた群(高群)と治療効果が小さかった(低群)で比較すると、信頼関係、愛着形成等に違いが見られ、低群においては本人が安心できる環境整備の必要性が示唆された。医療拒否、ケアサービス拒否の重度障害者に対する働き掛けは訪問型支援しかないと考えられた。精神障害者の「社会参加」や「活動性」等に関連するいくつかの要因が明らかとなり、スポーツによる社会参加の重要性も示唆された。精神障害者の精神障害者福祉手帳の不所持率、障害基礎年金と障害厚生年金の非受給率、及び収入源が明らかとなり、公的扶助の適切な申請を支援する必要性が示唆された。また、退院の可能性等についての主治医の判断の規定要因に着目した支援の有用性が指摘された。精神障害者退院促進支援事業について、退院したと思われる者は約3分の1であった。自立支援協議会の活動や訓練内容からは、精神障害者本人等との交流の重要性が示唆された。実績報告へのコード分類の導入等を行い、本事業の成果を的確に把握できるようにすることが必要と考えられた。
障害者自立支援法の成立により、精神障害者の特性を踏まえた福祉サービスの一層の普及・拡充が期待される。本年度までの研究で精神障害者の正しい理解に基づく、ライフステージに応じた自立支援と退院促進のためのガイドラインの作成を行う準備が整った。
結論
精神障害者がライフステージに応じて利用できる地域システムを明らかにすることを目的として、「精神障害者本人の態勢」、「生活支援・医療・住居」、「地域の育成」という観点から検討を行い、精神障害者の正しい理解に基づく、ライフステージに応じた自立支援と退院促進のためのガイドライン作成に基盤となる情報を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-25
更新日
-