脊髄損傷者の生活習慣病・二次的障害予防のための適切な運動処方・生活指導に関する研究

文献情報

文献番号
200500603A
報告書区分
総括
研究課題名
脊髄損傷者の生活習慣病・二次的障害予防のための適切な運動処方・生活指導に関する研究
課題番号
H17-障害-009
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐久間 肇(国立身体障害者リハビリテーションセンター病院・医療相談開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 中澤 公孝(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所・運動機能障害研究部・神経筋機能障害研究室)
  • 樋口 幸治(国立身体障害者リハビリテーションセンター病院・第一機能回復訓練部・運動療法部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,091,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脊髄損傷者の生活習慣病・二次的障害の実態、健康管理上の問題点を明らかにすることおよび頸髄損傷者の運動処方にあたっての立位歩行様運動の適応についての検討のための基礎データ収集と解析。
研究方法
1.調査研究:元入院患者および国立更生援護施設を退所の脊髄損傷者2839名を対象に、生活習慣病・二次的障害の実態、健康管理の状況などを郵送アンケート調査した。
2.トレーニング強度の設定のための基礎研究:6名の頸髄損傷者で、立位歩行様運動機器(EasyStand)を用いた速度漸増負荷試験および固定運動負荷試験を行い、酸素摂取量や換気量、心拍数などの運動生理学的結果を解析し、頸髄損傷者の運動特性、同運動の運動負荷方法としての有効性、運動強度の決定方法の検討を行った。
結果と考察
1.調査研究:995名(43.6%)から回答あり。健康状態は、「痛みやしびれ」637名が目立ち、「生活習慣病がある」121名、「二次障害がある」84名。「高血圧」111名、「肥満」84名、「糖尿病」82名、「高脂血症」59名、「心臓病」45名、「脳卒中」32名。運動は、「定期的にしている」42%、「していない」37%、「時々している」18%。食事は、1日「2回」が24%。夜食や間食は、「毎日」が35%。1回の排便時間は、「1時間以上」31%、「「3時間以上」5%。健康チェックは(836回答)、「市町村の健診等を受けたことがある」140名。
2.トレーニング強度の設定のための基礎研究:全身運動である立位歩行様運動では車いす運動時とは異なり、心拍数の上昇制限がなく120拍/分を超える値まで上昇した。運動強度の増加に伴い、酸素摂取量や換気量、心拍数などの指数関数的増加が確認され、その酸素摂取量の動態から有意に傾きが異なる2本の回帰直線の交点を算出した。その交点に相当する運動強度で、6名の被験者中、5名が交点に相当する運動強度で呼吸循環機能の定常状態が得られた。
結論
脊髄損傷者では、二次障害とともに生活習慣病の合併が多く、食事や運動など生活スタイルにも問題がある例の多い実態が明らかになった。
頸髄損傷者の立位歩行様運動は、車いすによる運動よりもより有効な運動になる可能性が示唆された。また、この運動において、呼吸循環機能が定常状態の得られる運動強度の把握が可能と考えられ、運動処方での強度決定に有用と思われた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-11
更新日
-