患者サービスの向上に向けた病院システムの確立 -病院経営へのCS技法の応用と経営改善との関係-

文献情報

文献番号
199700058A
報告書区分
総括
研究課題名
患者サービスの向上に向けた病院システムの確立 -病院経営へのCS技法の応用と経営改善との関係-
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
武藤 正樹(国立長野病院)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川敏彦(国立医療・病院管理研究所)
  • 川村治子(杏林大学保健学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成10(1998)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
CS経営、マーケッテイング経営の病院経営への応用を研究目的とした。それぞれの経営技法の概念整理を行った上で、病院経営への応用を理論と実践の上から検討を行うことを目的とした。
研究方法
病院管理研究者、病院経営コンサルタント、病院経営の実務担当者、企業マーケッテイング担当者等よりなる病院マーケッテイング経営研究会を組織し、研究会会員の事例報告、文献リサーチ等をおこない研究を実施した。
結果と考察
CS経営においては3つの顧客を同定することがまず重要である。病院経営における3つの顧客とは患者、デイラーとしての開業医、院内顧客としての現場職員である。これら3つの顧客の満足を高めることが経営目標となる。
患者満足について検討した。従来の患者満足調査の限界が明らかになった。従来の患者満足調査は設問が一般的な満足度の問いかけしかなされていなっかたために、調査結果をサービス改善に結び付けることができない。このため患者の経験した事実に基づいた調査方法(Patient Experience Survey)の提案をおこなった。また、患者の心理モデルとしては満足、不満足より安心、不安または信頼、不信の軸を中心として検討することが重要であることが示唆された。またマーケテイングの理論の応用として、インターナルマーケッテイング法と人事管理、リエンジニアリングとの関係、また究極の不満としての医事紛争における医師CS教育等についても検討した。またデイラーマーケッテイングとしての紹介医満足についても考察した。
結論
CS経営、マーケッテイング経営の病院経営への応用について検討した。これまでの病院経営において欠如していた患者の不安や不信感を改善するための患者の実経験に基づいた調査法の開発や、サービス改善技法、病院マーケッテイング理論の概念整理等、今後この分野における先駆的研究の糸口となる研究がおこなわれた。
平成に入って病院をとりまく経営環境が大きく変わった。それは一言でいえば病院市場がそれまでの成長市場から、これ以上はパイの各区第を望めない成熟市場へと移り変わったことといえる。成熟市場ではそれまでの成長市場で通用していたサービス提供者中心の経営手法は通用しない。これからの経営手法は顧客中心、患者中心でなければ病院の生き残りははかれない。こうした観点から、本研究では最近注目を集めているCS経営技法の病院経営への応用を試みた。またCSはマーケッテイング理論の中心概念でもあり、CS経営技法とマーケッテイング経営技法は深い関連性があるためマーケッテイング経営技法の病院への応用についても併せて検討することを目的とした。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)