措置入院制度の適正な運用と社会復帰支援に関する研究

文献情報

文献番号
200500596A
報告書区分
総括
研究課題名
措置入院制度の適正な運用と社会復帰支援に関する研究
課題番号
H16-障害-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
浦田 重治郎(国立精神・神経センター国府台病院)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島  正(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 吉住  昭(独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター)
  • 白石 弘巳(東洋大学)
  • 山﨑 敏雄(山﨑病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大阪教育大学付属池田小学校で起こった児童殺傷事件を契機として、医療観察法が成立を促す一方で、措置入院制度の信頼性について疑問視される事態に至ったことは、精神保健福祉行政の根幹に関わる重大な問題である。このような状況に鑑み、都道府県・政令指定都市における措置入院制度運用の状況を実証的に明らかにし、措置入院制度の適正な運用に資する具体的な方策を提言することを目的としている。
研究方法
本研究班は平成12年度の措置入院に関わる一連の行政書類をデータベース化して解析し、かつガイドライン案等を検討した平成13年度「措置入院制度のあり方に関する研究」及び平成14年度―15年度「措置入院制度の適正な運用に関する研究」を引き継いでいる。平成16年度に引き続き解析を更に深め、ガイドライン案の検証を行い、精神科救急における措置入院制度の果たす役割と措置入院患者の人権の確保を検討している。
結果と考察
竹島分担研究者は、措置入院制度の運用における行政の役割を検討した。またデータベースから医療観察法相当の措置入院例について解析した。吉住分担研究者は精神保健指定医の措置入院要否判断に影響を及ぼす診断・問題行動・症状についてデータベースをもとに検討した。浦田分担研究者は措置入院患者のフォローと社会復帰に関する検討を行った。白石分担研究者は東京都精神科救急医療の頻回利用者および医療観察法施行後の精神科救急の変化について調査した。山崎分担研究者は長期に入院する措置入院患者について精神医療審査会を通じて調査し、地域格差や措置入院継続判断基準の問題を明らかにした。
 竹島・吉住・浦田は措置入院制度運用における一連の手順および判断についてガイドライン案や記録様式案を作成し、これらについて6府県の行政および精神保健指定医の協力を得て試行し、問題点等についてアンケート調査やヒアリングを行っている。
結論
平成17年7月より措置入院制度により一般精神医療に取り込まれていた重大な犯罪行為を行った精神障害者は医療観察法により処遇されている。このことは措置入院制度にも変化がもたらされることは明らかである。これらについて引き続き調査・検討するとともに、措置入院制度が今後の精神医療の中での役割の変化に対応できるような本制度運用のガイドラインや行政記録様式について検討を進めている。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
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