福祉用具の心理的効果測定手法の開発

文献情報

文献番号
200500588A
報告書区分
総括
研究課題名
福祉用具の心理的効果測定手法の開発
課題番号
H16-障害-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
井上 剛伸(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 上村 智子(信州大学医学部保健学科)
  • 森 浩一(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 餅田 亜希子(国立身体障害者リハビリテーションセンター病院)
  • 原 由紀(北里大学 医療衛生学部リハビリテーション学科)
  • 若葉 陽子(東京学芸大学特殊教育研究施設)
  • 権藤 桂子(立教女学院短期大学幼児教育科)
  • 飯澤 めぐみ(立教女学院短期大学幼児教育研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
福祉用具の需要と供給の拡大に伴い、的確な成果評価が求められている。本研究の目的は、福祉用具が利用者に与える心理的影響を客観的に測定する手法を開発することにある。これにより、福祉用具の評価を利用者の視点から、より正確に判断することが可能となる。このような研究は海外では盛んに行われているが、日本国内においては測定法が標準化されてない。昨年度は、福祉用具の満足度を測定するスケールを開発し、その信頼性と妥当性を検証した。今年度は、福祉用具使用による心理的効果を測定するスケールを開発する。
研究方法
福祉用具の心理的効果を評価する手段として、Jutaiらが開発し、国際的にも利用されているPIADSの日本語訳を作成した。調査は初回実施日から3週間をおいて再度テストを行うという形式で2回実施した。その結果をもとに、再テスト信頼性および内部一貫性を調べた。妥当性については、福祉用具の導入経過と本スケールの得点を検討し、その関連性を検討した。対象とした用具は、眼鏡、コンタクトレンズ、移動用具、義肢・装具、起居用具、コミュニケーション用具、吃音軽減用具である。
結果と考察
眼鏡、コンタクトレンズ、車いす、義足を対象とした再テスト信頼性検証の結果、0.74-0.92という高い信頼性が得られた。また内部一貫性に関しても、0.93-0.97という高い信頼性が確認された。また、義足の切断レベルが高くなるほど、得点が低くなる傾向が見られ、本スケールの妥当性を支持する結果が得られた。また、利用者の希望に則した作業(例.食事)獲得のために導入した福祉用具についてはPIADSの得点が高く、福祉用具選択における作業指向性と利用者の希望の反映が主体性回復に役立つ可能性が示唆された。
結論
福祉用具の心理的効果を測定するPIADS日本語版を作成し、眼鏡、コンタクトレンズ、車いす、義肢・装具、起居用具、コミュニケーション用具、吃音軽減用具の使用者を対象として、その信頼性と妥当性を検証した。その結果、高い信頼性を確認することができた。また、義足の切断レベルおよび、福祉用具導入時の利用者ニーズと、本スケール得点との関連性が確認され、妥当性を支持する結果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200500588B
報告書区分
総合
研究課題名
福祉用具の心理的効果測定手法の開発
課題番号
H16-障害-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
井上 剛伸(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 上村 智子(信州大学医学部保健学科)
  • 森 浩一(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 餅田 亜希子(国立身体障害者リハビリテーションセンター病院)
  • 原 由紀(北里大学 医療衛生学部リハビリテーション学科)
  • 若葉 陽子(東京学芸大学特殊教育研究施設)
  • 権藤 桂子(立教女学院短期大学幼児教育科)
  • 齋藤 友博 (平成16年度のみ)(国立成育医療センター 研究所)
  • 飯沢 めぐみ (平成17年度のみ)(立教女学院短期大学幼児教育研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
福祉用具の需要と供給の拡大に伴い、的確な成果評価が求められている。本研究の目的は、福祉用具が利用者に与える心理的影響を客観的に測定する手法を開発することにある。これにより、福祉用具の評価を利用者の視点から、より正確に判断することが可能となる。このような研究は海外では盛んに行われているが、日本国内においては測定法が標準化されてない。本研究では、福祉用具の満足度を測定するスケールと、福祉用具の使用による心理的効果を測定するスケールを開発し、その信頼性と妥当性を検証した。
研究方法
福祉用具の満足度を評価する手段として、Demersらが開発し、国際的に利用されているQUEST 2.0の日本語訳を作成した。また、福祉用具の心理的効果を評価する手段として、Jutaiらが開発し、国際的に利用されているPIADSの日本語訳を作成した。それぞれのスケールについて、再テスト法と内部一貫性による信頼性の検証を行った。妥当性の検証は、総合評価とスケール得点との比較、および使用状況による得点の評価により行った。対象とした用具は、移動用具、義肢、日常生活用具、吃音軽減用具である。
結果と考察
いずれのスケールにおいても、再テスト信頼性および内部一貫性について、高い信頼性が確認された。妥当性の検証結果からは、満足度評価スケール(QUEST)の福祉用具サブスケールについては、妥当性が示されたがサービスについては、やや問題が残された。吃音軽減用具における評価結果から、用具の有効性と満足度評価スケールの用具得点に関連性が示され、妥当性を支持する結果が得られた。また、心理評価スケール(PIADS)について、義足の切断レベルが高くなるほど得点が低くなる傾向が見られ、妥当性を支持する結果が得られた。また、利用者の希望に則した作業(例.食事)獲得のために導入した福祉用具についてはPIADSの得点が高く、福祉用具選択における作業指向性と利用者の希望の反映が主体性回復に役立つ可能性が示唆された。
結論
福祉用具の満足度を測定するQUEST2.0日本語版および福祉用具の心理的効果を測定するPIADS日本語版を作成し、移動用具、義足、日常生活用具、吃音軽減用具の利用者を対象として、その信頼性と妥当性を検証した。その結果、高い信頼性を確認し、妥当性を支持する結果を得ることができた。今後、妥当性の検証をさらに進める予定である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500588C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究により、利用者の心理的側面から福祉用具の効果を客観的に評価しうる手法を開発することができた。具体的には、満足度を測定するQUEST日本語版および福祉用具の心理的効果を測定するPIADS日本語版を作成し、信頼性と妥当性の検証を行った。その結果、高い信頼性を確認することができ、妥当性を支持する結果を得ることができた。今回開発したスケールは、国際比較を行うためのプラットフォームとなる。
臨床的観点からの成果
本研究により開発した2つの心理評価スケールは、臨床現場での福祉用具評価において、定量的に測定しにくい利用者の心理面を点数化することができる。これにより、用具の基本性能に加え、導入やアフターサービスまで含めた福祉用具に関連する広範囲な事項について、利用者を中心とした客観的]価が可能となる。この結果は、導入のプロセスや、機器と利用者との適合度など、多面的な視点からの改善に役立つものである。
ガイドライン等の開発
本研究で開発した福祉用具の満足度評価スケールおよび福祉用具心理評価スケールは、現在、経済産業省が進めている福祉用具コーディネータ育成事業におけるテキストに掲載されており、福祉用具に関わる専門職の基礎知識として普及しつつある。
その他行政的観点からの成果
本研究で開発した評価スケールは、給付制度や介護保険におけるサービス体制の改善、制度の改善など、様々な貢献が期待される。介護保険におけるレンタル事業者の自己評価のツールとして使用することにより、サービスの質の向上を促すことができる。
その他のインパクト
本研究の成果は波及効果が、非常に大きいものと考えられる。そのため、最終的には出版という形で一般に供与することをめざし、現在出版社との折衝を行っている。また、本スケールを活用した研究や用具の評価への要請も寄せられており、社会的なインパクトは非常に大きい。

発表件数

原著論文(和文)
6件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
27件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Saito,T.,Furukawa,T, Nanri, S et al.
Potential errors resulting from sex and age difference in assessing family history of coronary heart disease.
J Epidemiol , 14 , 51-56  (2004)
原著論文2
Minagawa-kawai,Y., Mori,K.,Sato,Y.et al.
Differential cortical responses in second language learners to different vowel contrasts
Neuroreport , 15 (5) , 899-903  (2004)
原著論文3
皆川泰代,森浩一
言語認知研究におけるNIRS機能検査
臨床精神医学 , 33 (6) , 741-747  (2004)
原著論文4
佐藤裕,森浩一,小泉敏三,皆川泰代,田中章浩,小澤恵美
吃音者の聴覚言語処理における左右聴覚野の優位性-近赤外分光法脳オキシメータによる検討-
音声言語医学 , 45 (3) , 181-186  (2004)
原著論文5
佐藤裕, 森浩一, 福島康弘
吃音者の発声におけるピッチ制御の聴覚フィードバック特性,
国立リハ研紀要 , 25 , 7-13  (2004)
原著論文6
Minagawa-Kawai, Y., Mori, K., Sato, Y.
Different brain strategies underlie the categorical perception of foreign and native phonemes
J Cog Neurosci , 17 (9) , 1376-1385  (2005)
原著論文7
原由紀
幼児・学童期の吃音
言語聴覚学研究 , 2 (2) , 98-104  (2005)
原著論文8
原由紀
幼児の吃音
音声言語医学 , 46 (3) , 190-195  (2005)
原著論文9
酒井奈緒美, 森浩一, 小澤恵美他
耳掛け型メトロノームを用いた吃音訓練 -成人吃音者を対象に-
音声言語医学 , 47 (1) , 16-24  (2006)
原著論文10


公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-