障害者の所得保障と自立支援施策に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500586A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者の所得保障と自立支援施策に関する調査研究
課題番号
H17-障害-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
勝又 幸子(国立社会保障・人口問題研究所 企画部)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 達郎(国立社会保障・人口問題研究所 企画部)
  • 圓山 里子(特定非営利活動法人 自立生活センター新潟)
  • 遠山 真世(立教大学コミュニティ福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本調査の目的は、社会福祉基礎構造改革の理念である、障害者がその障害の種類や程度、また年齢や世帯状況、地域の違いにかかわらず、個人が尊厳をもって地域社会で安心した生活がおくれるようになるために必要な施策へとつなぐ基礎データを得ることである。そのために、独自の調査を実施して、既存の調査では得ることの出来ない障害者の生活実態を明らかにするとともに、それを基礎データとして、障害者の自立支援にはなにが重要であるかを、総合的学際的に研究する。
研究方法
1年目は、障害者生活実態調査(実地調査)の他に障害者施策の国際的動向のサーベイを実施した。
結果と考察
半数に近い人々が仕事をもっておらず、性別による有業率の差もみられた。身体障害者より知的障害者・精神障害者のほうが、仕事をもっている人の割合が低くなっていた。仕事の種類については、全体でみると常用雇用が多かったものの、知的障害者・精神障害者では福祉的就労をしている人が多く、低収入・低所得で生活している様子もうかがわれた。一方、身体障害者や障害者団体のメンバーの中には、重い障害をもっていても一般的な形態で就業し、高収入・高所得である人も存在していた。性別や障害種別、回答者のグループが、障害者の就労状況を左右する重要な要因であることがわかった。
 支援費の給付状況は、行政区としての市を単位としたグループと、障害者団体グループの間で顕著な差がみられた。
 生活時間調査については日中活動の状況をみると、日中の時間帯にかかわらず、「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」や「休養・くつろぎ」をしている人達が一定層、存在していること、「仕事」あるいは「その他、社会活動」をしている人も、その活動時間のピークは、午前10時~午後4時という、短時間の傾向がみられた。支援費(居宅サービス)の給付状況については、ほとんど利用していない人と、ほぼ毎日利用している人と、極端に分かれる。
  障害者世帯の収入、支出構造については、本人所得に関しては、障害別に明らかな差がみられた。とくに単身世帯の知的障害者、精神障害者は低所得に置かれており、後者で生活保護受給率が高いことが明らかになった。また雇用者所得を得ていたとしても、収入総額が高くなるわけではなく、就労が生活の安定に必ずしも寄与していないことが明らかになった。世帯支出では障害ゆえに必要な支出の存在が浮き彫りにされた。
結論
障害者生活実態調査については、今年度をプリテストと位置づけて行った。次年度は全国規模の健常者を対象とした調査票との比較を前提してすすめたい。

公開日・更新日

公開日
2006-04-25
更新日
-