文献情報
文献番号
200500581A
報告書区分
総括
研究課題名
肢体不自由者用新移動機器・足漕ぎ車椅子の研究開発
課題番号
H16-障害-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
半田 康延(東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動機能再建学分野)
研究分担者(所属機関)
- 吉澤 誠(東北大学情報シナジーセンター)
- 関 和則(東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動機能再建学分野)
- 高橋隆行(福島大学理工学群)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,322,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、従来型の足漕ぎ車椅子の有用性を確立し、これを踏まえて、パワーアシストや補助的FESシステムを用いた高機能の下肢駆動型移動機器を開発すること、また障害者・高齢者が足漕ぎ車椅子を実生活において使用した際に得られる効果、および問題点を明らかにすることを目的とする。
研究方法
(1)新しい駆動方式に基づく足漕ぎ車椅子を実現するために、機械製造会社((株)コスモテック)と協力し、詳細な機構設計を行う。
(2)ペダリング運動が健常者および下肢麻痺患者の中枢神経系にどのような影響をおよぼすかを明らかにするために、ペダリング装置上での一側下肢ペダリング中に、静止状態にある対側(麻痺側)下肢のH波と運動誘発電位(MEP)を測定する。
(3)老健施設を利用する障害高齢者における足漕ぎ車椅子(従来型)の使用が、下肢筋活動および心身活動にもたらす効果を明らかにするために、足漕ぎ車椅子による施設内移動訓練を実施し、この間の施設内移動距離を計測する。
(2)ペダリング運動が健常者および下肢麻痺患者の中枢神経系にどのような影響をおよぼすかを明らかにするために、ペダリング装置上での一側下肢ペダリング中に、静止状態にある対側(麻痺側)下肢のH波と運動誘発電位(MEP)を測定する。
(3)老健施設を利用する障害高齢者における足漕ぎ車椅子(従来型)の使用が、下肢筋活動および心身活動にもたらす効果を明らかにするために、足漕ぎ車椅子による施設内移動訓練を実施し、この間の施設内移動距離を計測する。
結果と考察
(1)新方式による足漕ぎ車椅子は、メカニズム重量を30kg以下とすること、電気モータによるパワーアシスト機構を組み込むこと、片手で操作しやすい非ハンドル型の操舵機構を有することなどが決定し、設計を完了した。
(2)健常成人では、一側下肢によるペダリング中に、対側下肢を支配する脊髄運動ニューロンの活動が抑制され、皮質運動野の活動が促通されることが示唆された。また脳卒中片麻痺患者においても、ペダリング運動が麻痺側下肢の筋活動を促通し得ること、またこれが皮質興奮に関連したものであることが示唆された。
(3)足漕ぎ車椅子の使用は、従来型であっても老健施設を利用する障害高齢者の心理的活動性を向上させ、施設内移動距離は、それ以外の手段による移動距離の6.3倍に増加することが判明した。
(2)健常成人では、一側下肢によるペダリング中に、対側下肢を支配する脊髄運動ニューロンの活動が抑制され、皮質運動野の活動が促通されることが示唆された。また脳卒中片麻痺患者においても、ペダリング運動が麻痺側下肢の筋活動を促通し得ること、またこれが皮質興奮に関連したものであることが示唆された。
(3)足漕ぎ車椅子の使用は、従来型であっても老健施設を利用する障害高齢者の心理的活動性を向上させ、施設内移動距離は、それ以外の手段による移動距離の6.3倍に増加することが判明した。
結論
(1)脚の往復運動を利用する新しい駆動法を用いた、新方式の脚駆動車椅子の設計を完了した。メカニズム重量30kg以下でパワーアシスト機構を有するものを試作する環境が整った。
(2) 一側下肢によるペダリング運動が、脳内の運動制御系の活性化を通じて、脊髄運動ニューロンの機能を調整することを明らかにした。
(3) 老健施設を利用する障害高齢者への足漕ぎ車椅子の使用は、心身両面での活動性向上に効果があることが明らかとなった。
(2) 一側下肢によるペダリング運動が、脳内の運動制御系の活性化を通じて、脊髄運動ニューロンの機能を調整することを明らかにした。
(3) 老健施設を利用する障害高齢者への足漕ぎ車椅子の使用は、心身両面での活動性向上に効果があることが明らかとなった。
公開日・更新日
公開日
2006-05-31
更新日
-