精神科急性期病棟・リハビリテーション病棟等の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
200500579A
報告書区分
総括
研究課題名
精神科急性期病棟・リハビリテーション病棟等の在り方に関する研究
課題番号
H15-障害-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
樋口 輝彦(国立精神・神経センター武蔵病院)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 誠一(国立精神・神経センター武蔵病院)
  • 澁谷 孝之(千葉県精神科医療センター)
  • 澤 温(さわ病院)
  • 宮岡 等(北里大学医学部精神科学教室)
  • 前田 久雄(久留米大学医学部精神神経科学教室)
  • 筧 淳夫(国立保健医療科学院施設科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、精神科急性期・リハビリテーション病棟における具体的な治療ケアプロセスを明らかにするとともに、標準的な治療ケアプロセスおよび必要な施設基準を提案することである。
研究方法
1)精神科急性期病棟における大うつ病性障害の薬物治療に関する研究と2)精神科リハビリテーション病棟におけるクリニカルパスに関する研究と3)大学病院デイケアに通所中の統合失調症患者に対する薬物治療に関する研究を行った。
1)2ヶ月の調査期間中に精神科急性期病棟・精神科救急入院料病棟取得病院、全国の大学病院、旧国立療養所を退院した患者について入院時・最初の処方変更時・中間日・退院時の処方を調査した。
2)精神科リハビリテーション病棟(社会復帰病棟またはそれに類する病棟)17施設から研究班が設定した想定例の退院までのクリニカルパスが収集された。
3)久留米大学病院デイケアに通所中の統合失調症および非定型精神病、躁欝病、てんかん性精神病と診断され抗精神病薬が処方された患者について2003年、2004年、2005年のある時点の処方を調査した。
結果と考察
1)36施設より110名の大うつ病性障害患者の処方データが得られた。8割以上の患者に抗うつ薬が処方されており、イミプラミン換算量の中央値は入院時75.0mg/日、中間日100.0mg/日、退院日90.0mg/日であり、どの時点でも6割程度の患者が150mg/日以下のカテゴリーに入っていた。大学病院では薬剤選択が幅広く、ECTの施行が多いなど治療の選択肢が多い事が示された。
2)収集されたクリニカルパスから、今後のクリニカルパス作成に際して考慮すべき点や退院に向けての課題とらえ方、必要な施設環境に関する提案が示された。
3)外来通院中の患者に対する薬物治療が多剤大量処方から脱却しつつある現状が明らかになった。
結論
精神科急性期病棟における大うつ病性障害に対する薬物治療の研究によって、全国の精神科急性期治療病棟または精神科救急入院料病棟を有する病院、急性期治療にあたっている大学病院病棟や国立病院機構に属する病院における大うつ病性障害治療の現状が示された。精神科リハビリテーション病棟におけるクリニカルパス研究からは、長期在院患者の社会復帰に向けた課題のとらえ方、退院に向けての計画方法、必要とされる施設環境についての示唆が得られた。大学病院デイケアに通所中の患者に対する処方を3年間にわたって調査した研究からは、外来通院患者に対する薬物治療が多剤大量処方から脱却しつつある現状が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2006-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200500579B
報告書区分
総合
研究課題名
精神科急性期病棟・リハビリテーション病棟等の在り方に関する研究
課題番号
H15-障害-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
樋口 輝彦(国立精神・神経センター武蔵病院)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 誠一(国立精神・神経センター武蔵病院)
  • 澁谷 孝之(千葉県精神科医療センター)
  • 澤 温(さわ病院)
  • 宮岡 等(北里大学医学部精神科学教室)
  • 前田 久雄(久留米大学医学部精神神経科学教室)
  • 筧 淳夫(国立保健医療科学院施設科学部)
  • 計見 一雄(千葉県精神科医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は精神科急性期・リハビリテーション病棟における具体的な治療ケアプロセスを明らかにすると共に標準的な治療ケアプロセスと必要な施設基準を提案することである。
研究方法
クリニカルパス(パス)収集と薬物治療(処方)の収集の2つの手法で研究を行った。1)精神科急性期病棟のあり方に関する研究、2)精神科リハビリテーション病棟のあり方に関する研究、3)精神科急性期治療病棟における多施設共同研究1、4)精神科急性期治療病棟における多施設共同研究2、5)隔離室のあり方に関する研究に分けて報告する。
結果と考察
1)大うつ病性急性期入院医療パス、統合失調症急性期入院医療パス、興奮状態による隔離室使用パスから、精神科急性期病棟における治療ケアプロセスが把握され、これらのパスをもとに標準的なパスと病棟空間に必要な建築基準が提案された。
2)精神科リハビリテーション病棟における治療ケア手順の現状が示され、今後のパス作成と退院促進活動に関する提案がなされた。
3)精神科急性期病棟における統合失調症の薬物治療は国際的に適正とされる範疇のものが多かったが大量処方や多剤併用も多く見られた。大うつ病性障害の薬物治療は低中用量の抗うつ剤使用が多かった。処方のばらつきには患者特性以外の施設的要因も関連していると考えられた。
4)急性期治療病棟からの患者の地域退院率の向上には特に高齢患者や統合失調症患者に対する援助が必要であり、再入院率を減少させるためには特に過去の再入院歴がある患者や人格障害の患者に対する援助が必要であることが示唆された。抗精神病薬による治療は多剤大量処方から脱却しつつあることが示された。
5)隔離室使用の標準パスが示され、統合失調症患者への抗精神病薬処方量の推移と隔離室設置率の関連が示唆された。
結論
精神科急性期病棟と精神科リハビリテーション病棟のあり方の検討に資するため具体的な治療内容に関する研究を行った。クリニカルパスの収集及び薬物治療に関する情報の収集により各施設の治療計画や診療内容が明らかになった。施設間の共通点の抽出により標準的な治療計画を作成するための提言がなされ、施設環境への要求性能を示した標準パスが作成された。施設間のばらつきの分析により治療のばらつきには患者要因だけではなく施設要因や治療者の要因が関連していることが明らかとなり、今後の治療充実に向けた取り組みの方向性が示された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500579C