精神障害者保健福祉手帳の判定のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200500577A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者保健福祉手帳の判定のあり方に関する研究
課題番号
H16-障害-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
白澤 英勝(宮城県精神保健福祉センター)
研究分担者(所属機関)
  • 青木 眞策(島根県立心と体の相談センター)
  • 築島 健(札幌市精神保健福祉センター)
  • 數川 悟(富山県心の健康センター)
  • 山崎 正雄(高知県立精神保健福祉センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
1,093,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨年度の研究を踏まえ従来の判定にかかわる「指針」の検討及び「情報のリスト案」(診断書案)を作成することを目的にした。
研究方法
これまでの判定に関わる「通知」の精査を行うとともに、全国8ヶ所のセンターの昨年11月の等級判定結果を無作為に抽出し、一元的尺度を用いて比較検討し、また、従来の診断書の検討を通して「盛り込むべき情報のリスト案」を新たな「診断書(案)」としてまとめ、模擬事例を通して従来の診断書との比較検討を行った。
結果と考察
これまでの判定に関わる「指針」は、必ずしも明確化されておらず、判定の実務上の困難に対応しがたい問題を有していた。全国8ヶ所のセンターで昨年11月に審査判定された事例の判定等級結果と「日常生活能力の判定」を一元尺度化した評価表からの得点との相関を解析した結果、判定ロジックに差異があることが明らかとなった。これを最小化するためには、「得点」を用いての評価方法の検討が必要がある。診断書に盛り込まれるべき情報のリスト(案)について、新たに「研究班版手帳診断書(案)」としてまとめた。診断書記載に関してはより詳細な記述に、病状の推移に関しては、障害の変動性・周期性の有無、治療や社会資源の利用状況、支援による効果と予後及び過去2年間の重症度の評価を記載することとした。また、能力障害の状態については国際生活機能分類(ICF)に準拠して障害程度を判断することとした。この診断書(案)に基づき模擬事例を作成し検討を加えたところ、記載不足によるあやふやさが改善されていること、日常生活能力を適切に記載することで公平・公正な審査判定が可能となることが示唆された。
結論
手帳等級判定における「差異」を最小にするためには客観的な評価を行う必要であり、従来の判定に関わる「指針」等を見直し、診断書に盛り込まれるべき情報を整理し、、日常生活能力に関しては国際生活機能分類(ICF)に準拠したものに改め、かつ、評価については一次元尺度化した評価方法に改め、客観的な評価を可能にすることが必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-05-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200500577B
報告書区分
総合
研究課題名
精神障害者保健福祉手帳の判定のあり方に関する研究
課題番号
H16-障害-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
白澤 英勝(宮城県精神保健福祉センター)
研究分担者(所属機関)
  • 築島 健(札幌市精神保健福祉センター)
  • 山﨑 正雄(高知県立精神保健福祉センター)
  • 數川 悟(富山県心の健康センター)
  • 青木 眞策(島根県立心と体の相談センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
手帳判定における判定機関間の差異及びそれを生じさせる要因を分析し、手帳判定の全国標準化するための基礎資料を得ることにある。
研究方法
全国の判定機関を対象に法45条判定事務及び模擬症例を通したアンケート調査を行い、その結果を考察した。また、その結果を踏まえ、判定に関わる「通知」等の精査及び等級判定結果を一次元尺度化した評価法を用いて比較検討するとともに、現行診断書の検討を通して「盛り込むべき情報のリスト(案)」を作成し、新たな「診断書(案)」としてまとめ、模擬事例を作成し従来の診断書との比較検討を行った。
結果と考察
手帳判定の現況は各審査判定機関間で無視し得ない「差異」みられ、その要因として①診断書作成に関わる医師の考え、②診断書に記載されるべき情報が十分でないこと、③判定基準が不明確であることが示唆された。また、これまでの判定に関わる「通知」等は不明確な部分が少なからずみられ、判定ロジックに差異が見られたことから、「日常生活能力の判定」などを一次元評価尺度で評価し、判定をより客観化する必要がある。そして診断書に盛り込まれるべき情報を精査し、病状の推移、障害の変動制・周期性、治療や社会資源の利用、支援による効果と予後、過去2年間の重症度の評価等を含めてより詳細に記述した、さらに障害の程度については国際生活機能分類に準拠した「研究班版診断書(案)」を作成した。それを用いて模擬事例を通して従来の診断書との比較検討を行ったが、その結果公平・公正な審査判定が可能となることが示唆された。
結論
手帳等級判定における「差異」を最小化するためには、従来の判定に関わる「通知」や診断書等を見直し、必要な情報を盛り込んだ新たな診断書を用いて、判定に際しては一次元尺度化した評価方法を採用する等の客観的な評価方法を確立する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-05-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500577C

成果

専門的・学術的観点からの成果
精神障害者保健福祉手帳の等級判定についての全国的な調査研究を始めて行い、その結果等級判定における「差異」及び「差異の生じる要因」について分析した。手帳制度の信頼性・公平性の観点から、標準化された判定が可能となるように、診断書に盛り込むべき情報を整理し、試案として「研究班版診断書(案)を作成し、更に、客観的な審査判定が可能となる一次元評価尺度を用いた評価方法について検討を加えた。
臨床的観点からの成果
精神障害者保健福祉手帳の実務判定において生じた「差異」を最小化するためには、従来の診断書を見直す必要があり、診断書に盛り込むべき情報を整理し、障害の程度に関しては国際生活機能分類(ICF)を用いての診断書書式を「研究班版診断書(案)」として作成し、他方、日常生活能力の判定を一次元尺度化した評価表を用いての「得点」化を試み、客観的な評価方法の確立に向けての基礎的な研究を行った。
ガイドライン等の開発
現行の手帳等級判定は各審査判定機関によって「差異」がみられ、判定の信頼性との観点からみれば、現行の手帳判定に関わる「指針」や「基準」を見直す必要があり、そのための基礎的な資料を「研究班版診断書(案)」として提示した。
その他行政的観点からの成果
全国調査において手帳等級判定の「差異」が明となり、その「要因」について分析した結果、現行診断書、等級判定の「指針」等を見直し、必要な情報を十分に盛り込み、国際生活機能分類(ICF)に準拠した「新たな診断書」作成が必要であること、また、全国標準化された客観的な審査判定を行うことが可能となる「新たな評価方法」の確立が必要であり、それが手帳制度の信頼性・公平性を担保することとなることを明にした。
その他のインパクト
精神症状の重症度評価や国際生活機能分類(ICF)に準拠した障害程度の把握は本研究を糧に、今後の研究に基礎的な資料を十分与えるものと思われ、そのインパクトは大きいと考える。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
平成16年度センター長会会報第45号2005年3月に収録
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
なし
なし
なし

公開日・更新日

公開日
2013-07-05
更新日
-