知的障害者の二次的障害としての咀嚼障害の原因と対策について―地域移行への体制づくりのために―

文献情報

文献番号
200500575A
報告書区分
総括
研究課題名
知的障害者の二次的障害としての咀嚼障害の原因と対策について―地域移行への体制づくりのために―
課題番号
H16-障害-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
前田 茂(岡山大学医学部・歯学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,477,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

文献情報

文献番号
200500575B
報告書区分
総合
研究課題名
知的障害者の二次的障害としての咀嚼障害の原因と対策について―地域移行への体制づくりのために―
課題番号
H16-障害-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
前田 茂(岡山大学医学部・歯学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 江草正彦(岡山大学医学部・歯学部附属病院)
  • 武田則昭(川崎医療福祉大学医療福祉学科)
  • 森田 学(北海道大学大学院歯学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
知的障害者は歯科疾患に罹患するリスクが高いだけでなく,障害のために十分な治療が受けられない場合がある。その結果,食の楽しみが奪われ,QOLの著しい低下を招くこととなる。そこで本研究では複数の地域において,幅広く知的障害者における歯科疾患の現状を評価した上で,歯科疾患と関連の深い口臭と口腔乾燥について調査した。また知的障害者の歯科的問題に関連する事項について,アンケート調査および文献的考察を行った。
研究方法
知的障害者に対して,歯科疾患と自立度,精神発達の程度,口腔乾燥および口臭について調査した。アンケートは,ICF(国際生活機能分類)によるもの,軽度の知的障害者を対象にした歯科に関する調査,および地域歯科医療施設に従事する歯科医師に対する調査を行った。知的障害者の歯科治療に関連した国内外の論文から,行動調整と地域移行に関して文献的に考察を行った。
結果と考察
自立度および精神発達の程度が低いほど,う蝕になるリスクが高いが,歯周病のリスクは逆に小さくなっていた。口臭の値は健常者のものとほぼ同レベルであり,これは知的障害者の歯周病が,ある程度コントロール可能であることを示唆している。対象者のう蝕の程度は,日本人の平均と同等に維持されていたが,口腔乾燥はう蝕およびてんかんの罹患と関連があり,この場合にはう蝕予防について格別の配慮が必要と思われた。ICFでは地域移行に向けて改善すべき問題の存在が示唆された。軽度の知的障害を持った人の大半は,地域の歯科医療施設を利用していた。歯科に対しては,障害への正しい理解や,ていねいな説明などが求められていた。地域の歯科医療施設で知的障害者を広く受け入れには,研修の機会,紹介システムの確立,保険制度によるサポートが必要とされていた。地域の拠点施設においては,ある程度の統一されたガイドラインで対応する必要があると思われた。将来的に地域移行が進んだ場合,知的障害者の歯科管理を維持するためには,地域の歯科医療施設の役割は大きくなると考えられた。
結論
知的障害者の歯科的問題を改善するには,歯科医療従事者と施設職員および保護者の努力が必要であるが,マンパワーには限りがある。そこで効率的な管理方法を検討するとともに,サポート体制としての歯科医療福祉地域サービスシステムが法制化されるべきであると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500575C