心筋微小血管造影装置の開発による糖尿病性心筋微小循環障害の可視化(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500574A
報告書区分
総括
研究課題名
心筋微小血管造影装置の開発による糖尿病性心筋微小循環障害の可視化(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H17-チム(生活心筋)-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
竹下 聡(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究 【脳卒中・生活習慣病臨床研究】若手医師・協力者活用に要する研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,052,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、性格の異なる3種類の病院設置型の微小血管造影装置(連続照射型白色X線源撮影装置、プラズマ単射型X線源撮影装置、および連続照射型単色X線源撮影装置)を開発し、糖尿病性心筋微小循環障害や再生療法後の微小新生血管の臨床評価の実現をめざすことである。さらに冠微小血管造影の対象症例となる骨髄間葉系幹細胞による心筋-冠血管再生療法の臨床応用も推進していく。
研究方法
既に当センターに設置してある連続照射型白色X線源による微小血管造影装置を用い、下肢糖尿病性微小循環障害症例や血管再生療法施行例を対象とした微小血管造影に関する臨床応用を行うとともに、心筋再生療法の臨床応用を推進し、冠微小血管描出の可能性についての研究をすすめる。また、他の2装置(プラズマ単射型X線源撮影装置及び連続照射型単色X線源撮影装置)による成人冠微小血管描出の可能性についても研究をすすめる。さらに、血管新生療法後の側副血管の血管反応性評価を、微小血管造影を用いて行う。また、低侵襲の血管再生治療として、アドレノメデュリンと末梢血単核球移植治療及び間葉系幹細胞移植治療の開発・実施を推進する。
結果と考察
閉塞性末梢動脈疾患10例に対して細胞移植による血管新生療法を行い、うち3例に合計6回の病院設置型微小血管造影装置を用いた微小血管評価を行った。微小血管造影に伴う放射線被曝線量は、通常の血管造影と同等のレベルであり、臨床的許容範囲内であることが判明した。また、微小血管造影によって描出される血管は、通常の造影では描出困難な100μm以下の微小血管であり、通常のDSAに比較して少なくとも1-2分枝末梢側の血管であることも明らかとなった。さらに、1ヶ月から1年の間隔を置いて施行したフォローアップ造影での微小血管の再現性は良好であり、微小血管評価法としての信頼性が示唆された。
結論
病院設置型微小血管造影装置の1号機は、通常の血管造影と同等の安全性を有している。また、その微小血管描出能は通常装置に比し優れていることは明白で、ヒトの微小血管評価に用いることが可能な新しい検査法である。造影検査を繰り返して施行し得た症例における微小血管の再現性は良好であり、血管新生療法前後における新生血管の評価に関しても、本装置を用いて行うことが可能である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-21
更新日
-