各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500572A
報告書区分
総括
研究課題名
各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H16-チム(生活心筋)-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 裕司(浜松医科大学医学部臨床薬理学講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究 【脳卒中・生活習慣病臨床研究】若手医師・協力者活用に要する研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,760,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)の脂質低下作用の個人差の要因に薬物トランスポーターの遺伝的多型性が示唆されているが、高脂血症患者における、スタチンの臨床効果に及ぼす薬物トランスポーターの遺伝的多型の影響については不明である。またスタチンの脳血管疾患抑制作用が注目されているが、スタチンが脳血流に及ぼす直接作用については多くの点が明らかではない。
 研究1では、スタチンの脂質低下作用と薬物トランスポーター遺伝子多型の関係を解析することを目的とし、研究2ではスタチンが脳血流に及ぼす直接作用について検討するため、組織酸素化モニター法を用いた脳循環血液量変化の解析可能性について予備的検討を行った。
研究方法
研究1:浜松医科大学附属病院においてプラバスタチンおよびアトルバスタチンを服用し、文書同意が得られた154名(男性85名、女性69名)を対象とした。OATP-C (*1a, *1b, *5, *15) およびOATP-B (C1457T) を解析し、カルテより対象患者の血清脂質値変化を調査した。
研究2:組織酸素化モニター法を用い、文書同意を取得した8人の健常人を対象とし、3波長のレーザー光を前額部に照射し、その反射光を連続的に測定することにより組織血液量を非侵襲的に測定した。
 本研究は浜松医科大学倫理委員会の承認を得て施行した。
結果と考察
研究1:スタチン服用1ヵ月後にはTCおよびLDL-Cは有意に低下した。しかし、スタチンの脂質低下作用にOATP-C (*1a, *1b, *5, *15) およびOATP-B (C1457T)遺伝子型間での有意な差は認められなかった。
研究2:組織酸素化モニター法で測定した脳血液量は臥位、坐位、立位で有意な変化を示し、その変化は静脈血液量ではなく動脈血液量の変化に一致した。測定結果は再現性が高く、また検者間の誤差は出現せず優れた評価法であることが明らかとなった。
結論
 スタチンの脂質低下作用の個人差は、OATP-CおよびOATP-Bの遺伝子多型で説明できず、他のトランスポーターや薬物代謝酵素、薬物受容体などの遺伝子解析を含む他因子の影響を総合的に評価する必要があると考えられた。また、スタチンの脳血管保護作用の機序の一端を明らかにするために、今後、長期的なスタチン使用による脳血液量の変化を追跡調査することが重要であり、組織酸素化モニター法は有用な解析方法と思われた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-