各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500567A
報告書区分
総括
研究課題名
各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H16-チム(生活心筋)-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
川嶋 成乃亮(神戸大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究 【脳卒中・生活習慣病臨床研究】若手医師・協力者活用に要する研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬剤用出性ステントの出現により、PCI後の再狭窄は著明に減少した。一方においてステント挿入後のステント上の新生内膜形成、内皮修復が障害され、血栓形成を増加させる懸念がなされている。
そして糖尿病、脂質代謝障害は、血管の修復過程を障害することが考えられる。本研究では、薬剤溶出ステント挿入後のステント上の新生内膜形成に及ぼす、糖尿病の影響を検討する。sarani、各種高脂血症治療薬が新生内膜形成に及ぼす影響、さらに冠動脈以外の血管での動脈硬化病変の進展と新生内膜形成がいかに関係するか、また、種々の血清バイオマーカーの修復過程への関与を検討する。                  
              
     
    
           
研究方法
神戸大学医学部附属病院に入院した85歳以下の冠動脈疾患患者において、シロリムス溶出ステントの挿入6ヶ月後にCAGを行い、その際に光干渉波断層(OCT)カテーテルを用いステントストラップ上の薄い新生内膜形成の程度を評価する。
また、ステント挿入時、並びに6ヶ月後 の時点で頸動脈エコーを記録し、内膜肥厚の進展を評価する。さらにこれらの血管病変と各種バイオマーカーとの間の間係を検討する。測定バイオマーカーとし
て、末梢血液中CRPおよびIL-6濃度、そして末梢血液中単球表面のTLR-4発現量などを測定する。 
結果と考察
研究開始当初は、冠動脈造影による再狭窄の発現の程度差の比較を主たる研究目的としていたが、糖尿病患者(DM群;n=15)、非糖尿病患者(非DM群, n=24)においては、再狭窄症例数が2例と再狭窄が極めて少く比較検討は困難であった。
一方OCT カテーテルを用いることにより詳細な血管壁構造の解析が可能となった、OCTカテーテルを用いて検討したステントストラップ上の新生内膜肥厚は、平均新生内膜厚が、非DM群では、78mmであったのに対し、DM群では123mmであり、糖尿病の存在は再狭窄に到らないものの、新生内膜肥厚を増強することが判明した。
スタチンの投与の有無による影響、さらには種々のバイオマ―カーとの関係を検討する予定である
 
結論
薬剤溶出性ステント(シロリムス溶出性ステント)挿入後の、血管修復過程において、糖尿病の存在は新生内膜肥厚を増強させることが判明した。

公開日・更新日

公開日
2006-03-31
更新日
-